「今ここ」に集中できない方へ。マインドワンダリングとトラウマ、脳の守る力との関係

この記事の内容

「今ここ」に集中できないのはなぜ?トラウマと脳の防衛本能を知る


仕事をしている最中、
あるいは誰かと会話をしている時。
ふとした瞬間に意識が遠のき、
気づけば過去の嫌な出来事を反芻していたり、
まだ起きていない未来の不安に支配されていたり
することはありませんか?

「どうして私は集中できないんだろう」
「またあんなことばかり考えてしまう」

そんな風に、自分を責めてしまうことも
あるかもしれません。



しかし、脳科学の視点から見れば、
その「心の迷走」には、
あなたを守ろうとしてきた
切実な理由があります。

今日は、最新の認知科学が明かす
「マインドワンダリング」と、
トラウマが脳に与える影響について
お話しします。



この記事を読み終える頃には、
自分の心がさまようことを、
少しだけ優しく受け止められるように
なっているかもしれません。



マインドワンダリングとは?脳が「さまよう」理由


まず、「マインドワンダリング」とは、
一言で言うなら「心の迷走」です。



目の前の作業から意識が離れ、
内面的な思考や空想にふけっている状態を
指します。

実は、私たちは起きている時間の
約半分(30%〜50%)を、
この「心ここにあらず」の状態で
過ごしていると言われています。


脳のアイドリング:デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)


脳には、特定のタスクに集中している時では
なく、ぼーっとしている時にこそ活発に動く
「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」
という回路があります。

車でいえばアイドリングのような状態ですが、
脳はこの時間に情報の整理をしたり、
過去の経験を教訓に変えたり、
創造的なアイデアを練ったりしています。



つまり、マインドワンダリングそのものは、
人間が生きていく上で欠かせない
「脳のメンテナンス時間」なのです。

脳のメンテナンスのイメージ



トラウマを抱える人にとっての「心の迷走」は、防衛本能である


しかし、トラウマ(心の傷)を
抱えている方にとって、この「心の迷走」は、
時として非常に苦しいものになります。



なぜなら、DMNが起動した瞬間に、
脳が自動的に「過去の戦場」や「痛みの記憶」
へとハンドルを切ってしまうからです。

ここで知っておいてほしいのは、
それはあなたの意志の弱さではなく、
あなたの脳があなたを守ろうとする
「防衛本能」の結果である
ということです。



「解離」という名の避難シェルター


あまりにも過酷な現実や、
耐えがたい恐怖を経験したとき、
心は「今ここに留まること」を
あまりにも危険だと判断します。



その結果、意識を現実から切り離して、
別の場所へ飛ばすことで心を守ろうとします。

これがひどくなると「解離」と呼ばれますが、
日常的なマインドワンダリングも、
その延長線上にある「小さな避難」
である場合があります。



今この瞬間が苦しいからこそ、
脳はあなたを別の場所へ連れて行こうと
してくれているのです。


過覚醒とネガティブな予測


トラウマがある脳は、常に
「また同じことが起きないか?」と
周囲を警戒しています(過覚醒)



すると、脳は安全を確保するために、
わざと最悪のシナリオを
シミュレーションしようとします。

これが、あなたが望んでいないのに
「不安な未来」や「過去の失敗」へと
意識が飛んでしまう理由です。



あなたの脳は、必死に「次こそは守り抜こう」と
訓練を繰り返しているのです。



ぐったり疲れるのは、脳が「フル稼働」している証拠


1日中ぼーっとしていただけなのに、
夜になるとぐったり疲れている。
そんな経験はありませんか?



実は、最新の脳科学のデータでは、
「一点に集中している時」よりも
「マインドワンダリング(心の迷走)を
している時」の方が、脳ははるかに多くの
エネルギーを消費している
ことが
わかっています。

脳の「デフォルト・モード・
ネットワーク(DMN)」という回路は、
脳全体のエネルギーの約60%〜80%
使い果たしてしまうと言われています。

トラウマを抱えていると、この回路が
「過去の警戒」や「未来の不安」で
フル回転し続けます。



例えるなら、目的地に進んでいないのに、
アクセルを全開にしてエンジンを
空吹かししている状態
です。

あなたが疲れやすいのは、
決して怠けているからではありません。



むしろ、あなたの脳は
「あなたを守るためのシミュレーション」に、
膨大なリソースを割いて
全力で戦い続けてくれているのです。



「今ここ」が怖い~マインドフルネスが難しい理由


最近では、集中力を高めるために
「マインドフルネス(今ここに集中すること)」が
推奨されることが多いですよね。



しかし、トラウマを抱える方の中には、
マインドフルネスをしようとすると、
かえって気分が悪くなったり、
パニックになったりする方がいます。

それは、決してあなたが「正しくできていない」
からではありません。


身体感覚への恐怖


マインドフルネスでは、自分の呼吸や体の感覚に
意識を向けます。



しかし、トラウマを抱えている場合、
体の中に恐怖や緊張が染み付いています。



意識を体に向けることは、
その「閉じ込めていた恐怖」に
直接触れに行くようなものです。

そのため、脳が「今ここに集中するのは危険だ!
別のことを考えろ!」と、
強制的にマインドワンダリングを起こさせて、
あなたを保護しようとすることがあります。



もしあなたが「今ここにいるのが怖い」と
感じるなら、それはあなたの本能が
正しく機能している証拠です。



無理に自分を今に縛り付ける必要はありません。



自分を責めずに、少しずつ「今」に錨(アンカー)を下ろす方法


では、この「さまよう心」と
どう付き合っていけばいいのでしょうか。



大切なのは、無理にコントロールしようと
するのではなく、「安全な距離感」
見つけることです。


ステップ1:気づくだけで100点


意識がどこかへ飛んでいることに気づいたとき、
「あぁ、まただ、ダメだ」と
自分を否定しないでください。



むしろ、「あ、今どこかに行っていたな。
脳が私を守ろうとしてくれたんだな」と、
一歩引いて気づけた自分を
褒めてあげてください。



気づけた瞬間に、あなたはすでに
「迷走」から一歩抜け出せています。


ステップ2:思考ではなく「外側の五感」を頼る


目をつぶって呼吸に集中するのが怖いときは、
目を開けたまま、自分の「外側」にあるものに
意識を向けます。


遠くで聞こえる車の音や、鳥の鳴き声に
耳を澄ませてみる。



これらは、あなたの意識を「過去や未来」から
「現在の物理的な世界」に繋ぎ止める
「錨(アンカー)」になります。






【例】

・今、視界に入る「青いもの」を3つ探してみる。

・近くにある壁や机を触って、
その「冷たさ」や「硬さ」を感じてみる。


ステップ3:脳への声かけ


マインドワンダリングが始まったら、
心の中で自分に語りかけてみてください。



「教えてくれてありがとう。
でも、今は20●●年(現在)で、
私はこの部屋にいて、安全だよ」



脳の防衛システムに、
今はもう戦わなくても大丈夫だと、
少しずつ教えてあげていく作業です。

安心感のイメージ



あなたの心は、あなたを守るために旅をしている


マインドワンダリングは、
決してあなたの欠点ではありません。



それは、あなたがこれまでの
荒波を生き抜くために身につけた、
賢くて優しい生存戦略です。

心がどこかへ飛んでしまうのは、
それだけあなたがこれまで「今」を生きるのが
困難な環境にいたという証拠でもあります。

無理に「今ここ」に居続けようと、
頑張る必要はありません。



安全だと感じられる範囲で、少しずつ少しずつ。
この世界が安全だと思える分だけ、
ゆっくりと地上に降りてくればいいのです。

あなたの心は、
今日もあなたを守ろうとしています。
その健気さを、
どうか否定しないでいてくださいね。


この記事を読んでくださったあなたへ


もし、読み進めるうちに
少し疲れてしまったなら、
一度画面を閉じて、
遠くの景色を眺めたり、
温かい飲み物を一口飲んだり
してみてください。


あなたは、今、ここに
ちゃんと存在しています。




あなたの「心の避難所」を、安心できる場所に変えていくために


マインドワンダリングが教えてくれる
「脳の防衛本能」は、
あなたがこれまで必死に生き抜いてきた証です。



でも、もし過去の記憶や未来の不安に
飲み込まれそうで苦しいときは、
一人で抱え込まずに
専門家の力を借りてみませんか?

カウンセリングでは、あなたのペースを
一番大切にしながら、
絡まった心の糸をゆっくりと
一緒にほどいていきます。


あなたが「今、ここにいても安全だ」と
心から思える場所を、
一緒に見つけていきましょう。



もし長い記事が疲れるなと感じたら、
エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。

気軽に読める内容なので、
ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が
見つかるかもしれません。
エッセイはこちら

 

 

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