トラウマとの向き合い方が運命を変える ― 傷ついた心と、優しくつながる方法
トラウマとの向き合い方が、人生を左右する
トラウマとどう向き合うか。それは、今後の人生の「生きやすさ」に直結します。
つらい出来事や悲しい体験を乗り越える中で、私たちの心は想像を超えるほどの働きをしてくれています。
でも、心のその頑張りに、私たちはどれだけ気づいてあげられているでしょうか?
心は、命を守るために必死だった
強いショックやつらい出来事があったとき、心と体はそれに耐えきれないと判断すると、自分を守るための緊急システムを起動します。
例えば、
- もうこれ以上、つらさを感じたら壊れてしまう
- 涙も出ない、何も感じない
- どこか自分じゃないような感覚
これらはすべて、「心が感覚と感情を切り離して守ってくれている」状態。
そう、心の自己防衛反応です。
解離という仕組み ― 感情と感覚を分離して守る
この「守り」の中でも、特に強いのが解離という反応。
苦しさや怖さに耐えられないとき、心は感情や体の感覚をシャットアウトします。
それでも間に合わないときは、場面場面で人格や感情を分けてしまうことさえあります。
たとえば、
- 大人として日常を過ごす「私」
- 家では何も感じなくなる「私」
- 怖い人の前では笑顔を貼りつける「私」
これは「おかしい」わけじゃありません。それだけ、心が必死に守ってくれていた証拠なんです。

「変わりたい」と思う気持ちが、自分を否定していない?
でもその後、私たちはこう思いがちです。
- 「こんな反応をする自分はダメだ」
- 「もっと普通になりたい」
- 「弱すぎる私は治さないと」
…でも、それは心を責めているのと同じこと。
ちょっと想像してみてください。
あなたの心が、あなたの命を守るために夜通し働いていたとします。
それなのに「お前なんかいらない」と言われたら、どんな気持ちになるでしょう?
悲しくて、寂しくて、置いてけぼりになったような感覚になるのではないでしょうか。
心は「良い・悪い」で動いていない
心は、良いか悪いかでは判断していません。
- あなたの未来のため
- あなたの命を守るため
- 今この瞬間を生き延びるため
ただそれだけのために、感情や行動を調整してくれているのです。
でもそれが、あなたの「望んでいる状態」じゃないときもありますよね。
そこで大切なのが――対話すること。
「いままでありがとう」
「本当に大変だったね」
「これからは一緒にやっていこう」
そうやって、丁寧に気持ちを向けてあげることで、心は少しずつ安心してくれるのです。
自分の中にいる「たくさんの私」と仲直りする
私たちの中には、たくさんの「私」が存在しています。
- 傷ついた「私」
- 強がっている「私」
- 甘えたいけど我慢している「私」
そして、それぞれが今も一生懸命に生きているんです。
関連記事でもご紹介していますが、心の中はまるでひとつの大家族のよう。
ひとりひとりに役割があって、葛藤しながらも守ろうとしてくれています。
あなたがその「家族」を敵に回すのではなく、仲間として迎え入れることができたら、どうでしょう?
変えようとするより、まずは「聴いてあげる」
よくあるのが、「つらい感情を変えたい」「早く前に進みたい」という焦り。
でも、その前にやってほしいのは、ただその感情の声を聴いてあげることです。
- 「怖い」って思ってるんだね
- 「もう傷つきたくない」って思ってるんだね
- 「それでも生きてる」んだね
そのままの気持ちを否定せず、「うんうん」と聞いてあげるだけで、心の緊張は少しずつほどけていきます。
向き合う勇気が、運命を変える
トラウマを持つことは、決して恥ずかしいことではありません。
むしろ、その中で必死に生きてきた証です。
向き合うことは、痛みを感じることでもあります。
でもそれは、「終わりのない苦しみ」に巻き込まれるのではなく、終わらせるための一歩でもあります。
あなたがあなた自身と仲直りすること。
その道を歩むことが、これからの人生を軽やかにしてくれます。

生きづらさとサヨナラするために
「私の中にいる、たくさんの私と仲良くなれると生きやすくなる。」
この言葉に、少しでも共感したなら、今のあなたはもう十分準備ができているのかもしれません。
これまで見ないようにしていた感情も、あなたの人生の大切な一部です。
ゆっくりで大丈夫です。
怖くなったら立ち止まってもかまいません。
でも一人で抱え込まずに、必要なときはぜひ専門家の力を借りてください。
カウンセリングのご案内
あなたの中にいる「たくさんの私」と、安心して向き合える時間を持ちませんか?
私のカウンセリングでは、神経系の反応や心の働きにも配慮しながら、あなたがご自身とつながれるよう丁寧にサポートしています。
「変わりたい」ではなく、「本当の私に戻りたい」あなたへ。
どうぞ、気軽に一歩を踏み出してみてくださいね。
もし長い記事が疲れるなと感じたら、エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が見つかるかもしれません。エッセイはこちら