怒りっぽさ・不安・モヤモヤの正体。“こころのフラッシュバック”との向き合い方
こころのフラッシュバックとは?
「フラッシュバック」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
過去の出来事が突然“映像”のように蘇る。そんなイメージを持つ方が多いかもしれません。確かにそれもフラッシュバックの一種ですが、実はもっと日常的に、もっと静かに、私たちの心の中で起きているものでもあります。
今日は、見過ごされやすい“こころのフラッシュバック”について、ポリヴェーガル理論やパーツ心理学の視点から深掘りしてみたいと思います。
映像だけじゃない?“感情”としてのフラッシュバック
例えば、誰かの何気ない一言にイラっとしたり、意味もなく不安になったり、モヤモヤしたり。
「なんで私こんなに怒ってるの?」「こんなことで動揺するなんて」と思ったことはありませんか?
実はそれ、“こころのフラッシュバック”かもしれません。
フラッシュバックというと、過去の出来事が映像でよみがえるような体験を思い浮かべがちですが、実際には「感情」や「身体感覚」として出てくる場合もとても多いのです。
たとえば、子どもの頃に感じた「怖い」「寂しい」「悔しい」などの感情。
それが大人になっても、ある場面で突然出てくることがあります。

ポリヴェーガル理論から見るフラッシュバックのメカニズム
ここで少し、ポリヴェーガル理論の話を。
この理論は、私たちの自律神経(特に迷走神経)が、どのようにして「安全・危険・生命の危機」といった状況に反応するかを説明するものです。
簡単にいうと、私たちの体には以下の3つのモードがあります。
- 社会交流モード(安全・安心)
- 交感神経モード(戦う・逃げる)
- 背側迷走神経モード(シャットダウン・フリーズ)
トラウマを抱えている人は、ちょっとした刺激でも「危険」と判断して交感神経が優位になったり、逆にシャットダウンして感情を感じなくなったりします。
つまり、イライラや不安が突然湧くのは、「今、危険だ!」と無意識が判断しているサインなんです。
でも、その「危険」は多くの場合、“今”の出来事ではなく、“過去”に感じた危険が影響しているのです。
パーツ心理学で見る「反応する自分」
さらに、パーツ心理学の視点も加えてみましょう。
パーツ心理学では、私たちの心にはいろいろな“部分(パーツ)”が存在していると考えます。
たとえば
- 傷ついた子どものパーツ
- 頑張り屋さんのパーツ
- 怒りを表すパーツ
- 自分を守ろうとするパーツ
フラッシュバックで強く反応してしまうとき、その背景には**「傷ついたまま放置された子どものパーツ」**がいることが多いんです。
その子は、当時感じたくても感じられなかった感情を抱えて、今もずっと待っている。
だから、似たような状況になると「またあの時と同じことが起きる!」と感じて、あなたを守ろうとして反応しているんです。
抑圧された感情が出てくる仕組み
子どもの頃、「泣いちゃダメ」「怒っちゃダメ」「怖がるな」と言われて育った経験、ありませんか?
そのとき本当は感じたかった感情が抑えられてしまうと、心の奥深くに“冷凍保存”されます。でも、感情はエネルギー。凍らせたまま放っておくと、ある日突然、何かの拍子に溶け出してくることがあります。
これが“フラッシュバック”という形で現れるのです。
とくに、トラウマを抱える人は「耐性の窓」が狭くなっていて、ちょっとした刺激にも大きく反応してしまいます。
※耐性の窓とは、心身が安定していられるゾーンのこと。

フラッシュバックを減らすためにできること
まずは、自分の反応を「悪いこと」や「ダメなこと」だとジャッジしないこと。
「また怒っちゃった」「なんで私はこんなに不安定なんだろう」と責める代わりに、「今、何か昔の記憶に触れたのかもしれないな」と好奇心を持って観察してみてください。
そして大事なのが、「安心できる場所」で「感情を感じ直すこと」
身体の声を聴きながら今の自分の状態を観察し、「あのときの私」が抱えていたものを丁寧に解放していく。
これは一人では難しいことも多いので、信頼できるサポーターと一緒に進めていくのが安心安全です。
カウンセリングでできるサポート
当カウンセリングルームでは、ポリヴェーガル理論やパーツ心理学に基づいたアプローチを取り入れています。
- イライラや不安の背景にある「感情のフラッシュバック」の理解
- 身体感覚を通じて、自分のパーツと出会うセッション
- フラッシュバックを少しずつ減らしていくためのワーク
「いつも感情に振り回されてつらい」
「自分の中に、どうにもできない何かがある気がする」
そんなあなたにこそ、ぜひカウンセリングを受けていただきたいです。
あなたの中にいる、過去のまま取り残されたパーツたち。
その子たちを一人にしないために、私たちがいます。
どうか一人で抱えこまず、お気軽にご相談くださいね。
もし長い記事が疲れるなと感じたら、エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
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