疲れてるのに休めないのはなぜ? 脳と身体のギャップを理解して“本当の休息”を取り戻す方法
しんどいのに、なぜか休めないあなたへ
「とにかくしんどい…」
「今日こそ早く寝ようと思ってたのに、気づけばスマホを触ってる」
「横になっても、頭の中がグルグルして休めない」
こんなふうに、“疲れてるのに休めない”って感覚、ありませんか?
ちゃんと寝てるのに疲れが取れない。
何もしてないのに、ぐったりしてる。
それでも、どこかで「まだ休んじゃいけない」ような気がして、気持ちが落ち着かない。
この状態、実は「あなたの意思が弱い」からでも「やる気がない」からでもなく、あなたの神経が、安心できていないだけなんです。

“休めない身体”が教えてくれていること
ポリヴェーガル理論では、私たちの神経は大きく3つのモードに分かれるとされています。
- 社会交流モード(腹側迷走神経):安心・つながり・リラックス
- 闘争・逃走モード(交感神経):不安・緊張・イライラ・焦り
- シャットダウンモード(背側迷走神経):無気力・解離・フリーズ
「疲れているのに休めない」というとき、多くの人はこの2番目「交感神経優位」の状態にあります。
交感神経は、緊張やストレスを感じたときに働く“戦闘モード”。
本来は「必要なときにサッと働き、役目を終えたらお休みする」ものなのですが、トラウマや慢性的な不安を抱えていると、この“戦闘モード”がずっとスイッチオンのままになってしまうんです。
安全じゃないと、私たちは「休めない」
「今日はもう頑張らなくていい」
「十分やったから、ゆっくりしよう」
頭ではそう思っていても、なぜか心が落ち着かない。
そんなとき、身体は「まだ危険がある」と判断して、交感神経を働かせ続けています。
これは、過去に傷ついた経験や、「安心できる環境で育ってこなかった」ことが背景にある場合が多いです。
たとえば・・・
- 子どもの頃から、周りの顔色をうかがって生きてきた
- 安心して気を抜ける場所がなかった
- ずっと“頑張らなきゃ”を求められてきた
こんな背景があると、「休む=危険」「気を抜いたら責められる」「役に立たなきゃ愛されない」と、身体が記憶していることがあります。
(関連記事:”安心できない私に必要だったのは、頭じゃなくて身体の感覚だった)

本当に休むために必要なのは「安全のサイン」
では、どうしたらこの“休めない状態”から抜け出せるのでしょうか?
大切なのは、身体に「今は安全だよ」と教えてあげること。
それは、頭で何度も言い聞かせるよりも、身体感覚を通して感じさせてあげることの方が効果的です。
たとえば、こんな方法があります。
1. グラウンディング:重力を思い出す
- 足の裏が床についている感覚
- 座っている椅子の感触
- 背中を支えてくれているもの
こうした感覚を丁寧に感じるだけでも、神経は「地に足がついた感覚=安全」と認識しやすくなります。
2. 呼吸をゆっくりと感じる
- 吐く息を長めに意識してみる
- 肩やお腹の動きにそっと注意を向けてみる
焦ってるときほど、呼吸は浅く早くなってます。
逆に、呼吸が落ち着くと、神経も安心に傾いていきます。
3. “いまここ”を感じるセンタリング
- 目の前の景色をぼんやり見る
- 手のひらを感じる
- 「今、自分はここにいる」と自分に声をかける
過去や未来への不安に引っ張られがちな心を、「今ここ」に戻してあげる練習です。
「休んじゃいけない」と感じてしまうあなたへ
「まだやれる気がする」
「もっと頑張らなきゃ」
「何もしない自分には価値がない気がする」
こんな声が内側から聞こえてきたとき、それは“あなたを守ろうとするパーツ”がしゃべっているのかもしれません。
パーツ心理学では、私たちの中にはたくさんの“内なる声”や“役割”があるとされています。
「頑張り屋のパーツ」
「責任を背負いすぎるパーツ」
「怒られるのが怖くて、気を張るパーツ」
どれも、過去にあなたを守ってくれた存在です。
でも今、少しずつでも「休んでも大丈夫な場所」「安心できる相手」が増えてきたなら・・・
それらのパーツたちに「もうそんなに頑張らなくてもいいよ」って伝えてあげられるかもしれません。
(パーツ心理学についてはこちら)
休むことは、命を守る力
休むことって、何かを“止める”ことのように感じるかもしれません。
でも実は、「命を守る力を取り戻す」ことでもあるんです。
疲れてるのに休めない・・・
それは、あなたが悪いわけでも、怠けているわけでもありません。
むしろ、「ずっと頑張りすぎてきた証拠」
これからは、自分に「休むこと」を許してあげてください。
焦らなくて大丈夫。少しずつ、身体が安心を思い出していけるように。
あなたが、自分のリズムで「ほっ」とできる時間を、増やしていけますように。

「休みたいのに、どうしても気が抜けない」
「ちゃんと寝てるはずなのに、疲れが取れない」
そんな状態が続いているなら、一度、専門的な視点で自分の心と身体を見つめてみませんか?
当カウンセリングルームでは、ポリヴェーガル理論やソマティック心理学をベースに、“安心できる身体”を取り戻すお手伝いをしています。
あなたのペースで、無理なく、安心を育てていける場所でありますように。
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