アダルトチルドレンの境界線のあいまいさ~自分と他人を守るために大切なこと
アダルトチルドレンと境界線の難しさ
アダルトチルドレンとして育った人の多くは、
気づかないうちに「自分」と「相手」の
境界線があいまいになりやすい傾向があります。
「相手のためにしているつもり」が、
実は相手の人生に踏み込みすぎていることも少なくありません。
私自身も長い間、境界線がズブズブで、
人間関係に疲れ果ててしまうことがありました。
今回は、私の体験をもとに
「境界線があいまいになる仕組み」と
「どうすれば健全な境界線を築けるか」
についてお伝えします。
(関連記事:なぜアダルトチルドレンは他人との境界線が曖昧なのか― 境界線を引く力を取り戻すには?)
自分と相手の境界線がなくなるとどうなるか
境界線があいまいだと、
「相手の問題=自分の問題」と感じてしまい、
相手の人生に過干渉になります。
例えば私は、ある友人の食生活が
とても偏っていることに強い不安を感じました。
その友人は毎日お菓子や菓子パンを食べ、
飲み物は炭酸ばかり。
野菜やタンパク質はほとんど摂らず、
栄養バランスは崩れっぱなし。
私は「こんな生活をしていたら絶対に病気になる!」と焦り、
頼まれてもいないのに食事指導をしたり、
健康食品をおすすめしたりしました。
しまいには、自分でサプリを買って渡すほどに。
振り返れば、これは完全に境界線を越えた行為でした。
友人本人は「困っていない」し「変わる気もない」。
それなのに私は勝手に不安になり、
相手の領域にズカズカと入り込んでいたのです。

「相手のため」ではなく「自分の不安」のため
当時の私は「友人を思ってのこと」
と思い込んでいました。
でも深く掘り下げると、そこには
「相手が病気になるのを見るのがつらい私」がいました。
つまり、私のエゴ。
「相手のため」ではなく
「自分の不安を和らげたい」という思いが
強く働いていたのです。
これは過干渉な親によくあるパターンに似ています。
「あなたのためよ」と言いながら、
子どもの体験の機会を奪ってしまう親。
結果として、子どもの人生をコントロールしてしまう。
私が友人にしていたことも、まさにそのパターンでした。
境界線を尊重することは冷たいことではない
ある時、ある方からこんな言葉をいただきました。
「人には、幸せになる自由もあれば、不幸になる自由もある。他人がその自由を奪ってはいけない。」
私はハッとしました。
友人が病気になるかどうかは、本人の人生の一部。
そこに私が勝手に介入することは、
相手の選択を奪うことだったのです。
境界線を引くことは「見捨てること」でも
「冷たくすること」でもありません。
むしろ「相手の人生を尊重すること」であり、
自分の心を守ることでもあります。
なぜアダルトチルドレンは境界線を越えてしまうのか
ではなぜ、アダルトチルドレンは
境界線を越えてしまいやすいのでしょうか。
背景には「機能不全家族で育った環境」があります。
子ども時代に、
- 親の感情に振り回された
- 「親の機嫌を取ること」が生き残るための手段だった
- 自分の気持ちより親のニーズを優先してきた
こうした経験を繰り返すと、
「自分と相手の境界線」を感じ取る感覚が育ちません。
その結果、大人になっても
「相手を助けなければ」
「相手の問題は自分が背負わなければ」
と思い込み、境界線を侵してしまうのです。
境界線を守るためにできること
境界線を保つことは一朝一夕ではできません。
でも、少しずつ意識することで必ず変わっていきます。
1. 相手の問題は相手のものと意識する
「これは私の問題?相手の問題?」
と一度立ち止まってみること。
2. 不安の正体を見つめる
相手の問題を解決したいと思った時、
その裏に「自分の不安」が隠れていないか
探ってみる。
3. 相手に選択の自由があると理解する
たとえ自分から見れば「良くない選択」に
思えても、それもまた相手の人生。
4. 相談された時だけ応じる
アドバイスや行動は「相手から求められた時」にする。
境界線を学ぶことは、自分を取り戻すこと
境界線を学び、実践していくと、次第に
「他人の人生を生きる」のではなく
「自分の人生を生きる」感覚が戻ってきます。
他人の問題に振り回されず、
自分の心を守れるようになるのです。
私自身も、以前は人間関係で
消耗してばかりでしたが、
境界線を学んだことで驚くほど
気持ちが楽になりました。
境界線を引くことは愛の一形態
アダルトチルドレンにとって、
境界線を引くことは簡単ではありません。
「見捨ててしまうのではないか」
「冷たい人だと思われるのではないか」と
不安になることもあります。
でも、境界線を引くことは
「相手を尊重すること」であり、
「自分を守ること」です。
どちらも大切にすることで、
ようやく健やかな人間関係が
築けるようになります。

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