その思考、あなたの感情を傷つけていない?〜無意識に抱えた罪悪感と生きづらさ〜
無意識の思考が感情を傷つけているかもしれない
私たちの中には、「パーツ」と呼ばれる複数の側面が存在しています。
その中でも、感情を担当する“子どもっぽい部分(チャイルドのパーツ)”はとても繊細で、感じたことをそのまま素直に表現しようとします。
でも、それを「ダメなこと」「感じてはいけないこと」だと否定する“厳しい思考のパーツ”が存在していると、その素直な感情は深く傷ついてしまいます。
たとえば、「こんなに寂しいのに」「悲しいのに」と心が叫んでいても、「そんなこと感じちゃいけない」
「泣いても意味がない」という思考の声がかぶさることで、感情は行き場を失っていくのです。
こうして、私たちの中で感情と意識がズレていき、生きづらさがどんどん大きくなっていくのです。
感情を傷つけるのは、外の誰かではなく自分の中の「思考」
あなたの中にいる“チャイルドのパーツ”は、感情そのものです。
うれしい、悲しい、怖い、寂しい――
どんな感情も、素直にそのまま感じてくれています。
でも、その感情を「そんなこと思うなんてダメ」と否定してしまう声――
それが“厳しい思考のパーツ”であり、たいていは過去の環境によって作られたものです。
・感情を出すと怒られた
・わがままだと思われたくなかった
・誰かの期待に応えないといけなかった
そんな過去の経験から、「自分の感情をそのまま出すのは危険だ」と、無意識に判断してしまうようになります。
感情と意識がズレると、なぜ生きづらくなるのか?
チャイルドのパーツが「悲しい」と感じているのに、思考のパーツが「元気にしなきゃ」と押さえつける。
こんなふうに、感情と意識がズレている状態が続くと、私たちはどんどん“本当の自分”から遠ざかっていきます。
やがて、自分が何を感じているのかすらわからなくなり、「なんでこんなに苦しいのかもわからない」という状態にまで陥ってしまうのです。
無意識に染み込んだ「罪悪感」という思考
私は自分の中にあるパーツを見つめていく中で、心の奥にずっと根を張っていた「罪悪感」の存在に気づきました。
しかも、それはものすごく幅広く、
・人の問題まで自分のせいだと感じていたり
・頼まれてもいないのに、勝手に自分を責めていたり
・楽しむことすら「悪いこと」と感じていたり
…と、日常のあちこちに潜んでいたのです。
この罪悪感を生み出していたのは、
「ちゃんとしなきゃ」
「迷惑をかけちゃダメ」
「頑張らなきゃ価値がない」
といった“厳しい思考のパーツたち”でした。
「思考」はどこから来たのか?そのルーツにあるもの
これらの思考は、生まれつき私に備わっていたものではありません。
親や周囲の人の言葉、態度、表情、そして空気感の中で染み込んできたものでした。
たとえば、
- 楽しそうにしていたら「調子に乗るな」と言われた
- 頑張っても「まだまだ」と突き放された
- 親が不機嫌だったけど理由がわからなかった
そんな経験を重ねる中で、私は「自分には価値がないのかもしれない」と思い込むようになっていました。

恥や罪悪感がもたらす“重たいエネルギー”
アメリカの精神科医・ホーキンズ博士が提唱した「意識のエネルギーレベル」という概念では、「恥」と「罪悪感」は、もっとも重たいマイナスのエネルギーを持つとされています。
実際、私自身もこの意識のエネルギーに長くとらわれていた時期があり、心身の不調にも悩まされてきました。
自分を恥じること。
自分を責めること。
それは、体にも心にも大きな負荷をかけ、エネルギーを消耗し続ける行為なんです。

自分を癒す第一歩は「思考の存在」に気づくこと
感情を否定しているのは、自分の中の“厳しい思考のパーツたち”であることに気づく。
ここが癒しのスタート地点です。
「そうか、私はこういう思考を持っていたんだな」
「この思考が、自分の感情を否定していたんだな」
そうやって“自分の中で何が起きていたのか”に気づくことで、感情のパーツも少しずつ緊張をゆるめてくれるようになります。
「こう感じてもいい」と自分に許可を出してみよう
寂しいって感じてもいい。
悲しいって思ってもいい。
嫌だと思ってもいい。
どんな感情も、あなたの中の大切な一部。
チャイルドのパーツは、ただあなたに“今、こう感じているよ”と教えてくれているだけなのです。
その声を「ダメ」と否定せず、ただ「そうなんだね」と受け止めてあげること。
それが、感情のパーツとのつながりを取り戻す第一歩です。
生きづらさをやわらげるために今からできること
生きづらさを感じているとき、以下のようなシンプルな行動から始めてみてください。
● 自分の感情に名前をつける
「今、私は◯◯を感じてるな」と言葉にしてみるだけで、感情は整理されやすくなります。
● 自分を責める思考に気づく
「また私、こうやって自分を責めてたな」と思えたら、それだけで一歩前進です。
● 完璧じゃなくていいことを思い出す
うまくいかなくても、怒ってしまっても、悲しんでしまっても、それでいい。
あなたの感情には、すべて存在する意味があります。
● パーツと対話する
“厳しい思考のパーツたち”は悪者ではありません。
それらのパーツたちが長年厳しく自分自身を律することで、今日まで生き抜いてこれたとも言えるのです。
それぞれのパーツたちと対話し、時間をかけて少しずつ厳しさを緩めていきます。
誰だって「癒す力」を持っている
心の中にあるパーツたちは、バラバラに見えて、実はちゃんとつながっています。
そして、そのつながりを取り戻すことで、本来のあなたらしさが戻ってきます。
今、感情がわからなくなっていたとしても、罪悪感や恥の思考にとらわれていたとしても、ゆっくりと、やわらかく自分と向き合っていくことで、必ず変化は起こります。

あなたの「今ここ」に寄り添うカウンセリングを
私のカウンセリングでは、無理に感情を語る必要はありません。
言葉にならない思いがあれば、それもまるごと大切に扱っていきます。
パーツたちの声に、あなたと一緒に耳を澄ませながら、少しずつ、安心とつながりを取り戻していけるように。
「感情を否定せずに生きてみたい」
「罪悪感や思考のクセから自由になりたい」
そんな想いが湧いてきたら、ぜひ一度ご相談ください。
あなたのペースで、あなたの中にある力を信じる時間を、一緒に歩んでいけたら嬉しいです。
もし長い記事が疲れるなと感じたら、エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が見つかるかもしれません。エッセイはこちら