お風呂に入れないのは甘えじゃない。うつで動けないあなたへ伝えたいこと
その「入らなきゃいけないのに入れない」気持ち、わかります
「お風呂に入りたいけど、体が動かない」
「歯を磨いた方がいいのは分かってるのに、どうしてもできない」
「清潔にしなきゃって思うほど、余計にしんどくなる」
そんなお悩み、ありませんか?
実はこういった声、うつや強いストレスの状態にある方からとてもよく聞きます。
そして多くの人が、そうできない自分に対して「ダメだ」「情けない」「もっと頑張らなきゃ」と、自分自身を責めてしまっています。
でもね、それは本当にあなたの「甘え」なんでしょうか?
お風呂に入れないのは「甘え」でも「だらしなさ」でもない理由
まず最初に、はっきり伝えたいことがあります。
お風呂に入ることができない、歯磨きすら億劫に感じる。
それは「怠け」でも「だらしなさ」でも「性格の問題」でもありません。
それは、あなたの心と体が「もう無理・・・」と悲鳴をあげているサインなんです。
「ちゃんとしなきゃ」と思っているあなたの中には、すでにたくさんの“がんばり”が積み重なってきたはず。
それでもできない今があるなら、それはあなたの“意志の弱さ”なんかじゃなく、“エネルギー切れ”が起きている状態なんです。

脳と心のメカニズム:「やらなきゃ」ができない仕組み
うつや極度のストレス状態になると、脳の「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という部分の働きが鈍くなります。
この前頭前野は、「計画を立てる」「やるべきことに着手する」「感情をコントロールする」などの“司令塔”のような役割を持っています。
この部分が疲れてしまうと、
- やる気が出ない
- 思考がまとまらない
- 体が重く感じる
- 小さな行動を起こすことすら難しい
といった状態になります。
つまり、「お風呂に入らなきゃ」と思っていても、実際に行動にうつす力が脳に残っていない。
これは意志や根性の問題ではなく、脳の働きのバランスが崩れていることによる“仕方のないこと”なんです。
実体験:私にも顔を洗うことさえ億劫だった頃がありました
実は私自身も、うつ症状がひどかった時期がありました。
その頃の私は、元々潔癖な性格だったにも関わらず、顔を洗うことさえ億劫でした。
髪を洗う、お風呂に入る、歯を磨く・・・そんな“当たり前”のことが、まるで大きな山のように感じて、とても大変でした。
「やらなきゃいけないのに、なんでできないんだろう」
「こんな自分、最低だ」
「きっと周りにバレたら引かれる」
そんな思いが何度も頭の中をよぎって、自分を責めては落ち込む・・・の繰り返しでした。
でも、ある時ふと気づいたんです。
「私、ただものすごく疲れてるだけなんだ」って。
頑張れないんじゃなくて、もう十分すぎるほど頑張って、心も体もエネルギーが底をついてしまってたんですよね。
今、あなたにできる優しいセルフケア
うつや強いストレスの中にいると、「休む」ことすら罪悪感を感じる人も多いです。
でも、今のあなたに必要なのは「無理に何かをすること」じゃなくて、「自分をゆるめること」
ここでは、そんな時期におすすめしたいやさしいセルフケアをいくつか紹介します。
アロマやお香を焚いてみる
嗅覚は脳と深くつながっていて、リラックスのスイッチを入れてくれます。
ラベンダー、オレンジスイート、ベルガモットなど、好きな香りを見つけてみてください。
肌触りのいいパジャマやブランケット
五感のうち、触覚は安心感と深い関係があります。
もふもふ、ふわふわ、さらさら・・・自分の「心地よさ」を優先して選んでみて。
観葉植物を置く
特に「丸くて大きな葉っぱ」の植物は、脳をリラックスさせてくれる効果があると言われています。
何も手入れしなくても、ただ“そこにある”だけで癒される存在です。
やすらげる音楽をかけてみる
波の音、雨音、ピアノの優しい音など。
YouTubeやSpotifyなどでも「ヒーリングミュージック」と検索すると、たくさん出てきます。
「何かをしなきゃ」じゃなく、「ただそこにある」ものでOK。
あなたの“感覚”がちょっとだけほっとするものを、ひとつ見つけてみてください。

「ちゃんと動ける日」は必ずくる
「このままずっと何もできないままだったらどうしよう」
「元の自分に戻れないんじゃないか」
そんな不安が頭をよぎることもあるかもしれません。
でも大丈夫。
エネルギーが補充されれば、人は必ずまた動けるようになります。
私もそうでした。
顔も洗えなかった自分が、こうして今、誰かに言葉を届けることができるようになった。
あなたにも、必ずそういう日がやってきます。
だから、どうか焦らないで。
今はただ、休むことに専念してください。
休むことは「生きるための力」になる
うつで動けないとき、自分がすごく情けなく思えたり、世界から取り残されているように感じるかもしれません。
でも、「動けない自分」も、「何もできない自分」も、ちゃんと生きてるんです。
それだけで、ほんまにすごいことなんです。
休むことは悪じゃありません。
それは「生きるための力」をためる、立派な行動です。
どうか今日も、あなたがあなたにやさしくできますように。

もし、今のあなたが
「しんどい気持ちを誰かにわかってほしい」
「ひとりで抱えているのがつらい」
そう感じているなら、よかったら一度お話ししませんか?
私は、かつてお風呂に入ることすらつらかった頃の自分を思い出しながら、今のあなたの心にそっと寄り添いたいと思っています。
カウンセリングでは、あなたのペースを大切にしながら、安心して話せる時間を一緒に作っていきます。
がんばらなくて大丈夫。
話すだけでも、心が少し軽くなることがありますよ。
もし長い記事が疲れるなと感じたら、エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が見つかるかもしれません。エッセイはこちら