【自分を責める・何かに依存する心理】アクティング・インと依存行動の違いとは?
自分を責めてしまう・・・その心理とは
「また自分を責めてしまった」
「苦しいのに、誰にも言えない」
「自分なんて消えてしまえばいいと
思ってしまうことがある」
そんな思いを、抱えたことはありませんか?
それはもしかしたら、「アクティング・イン」と
呼ばれる心の反応かもしれません。
この記事では、「自分を責める心理」の正体や、
よく似ている「依存行動」
「アクティング・アウト」「自罰感情」との違い、
そして「どう向き合えばいいの?」ということを、
トラウマケアの視点から
わかりやすくお伝えしていきます。
アクティング・インとは?
アクティング・インとは、
言葉にできない怒りや苦しさを
「自分自身を傷つける行動」として
出してしまう反応のことです。
一般的に、怒りやストレスを
外(他者や物)にぶつけることを
「アクティング・アウト」と呼ぶのに対し、
その矛先を内(自分)に向けてしまうのが
アクティング・インです。
(※心理学の専門用語としては
「カウンセリングの場で
言葉にできない思いを
行動で示してしまうこと」を
指す場合もありますが、
この記事では「言葉にできない苦しさを
自分自身にぶつけてしまう反応」
としてお伝えしますね)
言葉で上手く表現できない感情が
溢れそうになったとき、
知らず知らずのうちに
自分を痛めつけるようなパターンを
繰り返してしまうことがあります。
たとえば、こんな行動が含まれます
- 自分の体を痛めつける(自傷行為や抜毛、無理な絶食など)
- 限界を超えているのに休まず働き続けてしまう(過剰適応)
- わざと自分を追いつめるような選択をしてしまう
- 体を壊すと分かっているのに、無謀な行動をとってしまう
「怒り」や「悲しみ」を
言葉にして外に出せない代わりに、
自分自身を罰したり痛めつけたりする行動で、
なんとか感情のバランスを
とろうとしてしまうのです。
感情の向かう先で変わる「4つの心理パターン」
「自分を責めてしまう」
「お酒や過食がやめられない」
「急に人にイライラをぶつけてしまう」
一見ばらばらに見えるこれらの反応ですが、
実は「心の中の苦しみ(火種)」を
どう処理しようとしているかの違いです。
まずは、頭の中を整理するための
「4つの違い」を表で見てみましょう。
| 概念 | 自罰感情 | アクティング・イン | アクティング・アウト | 依存行動 |
|---|---|---|---|---|
| 種類 | 【心の中の思い】 (すべての火種) | 【行動】 (自分への攻撃) | 【行動】 (他者・物への攻撃) | 【行動】 (感覚の麻痺・逃避) |
| 向かう先・目的 | 心の内側 (エネルギーの発生源) | 自分自身(内)に向けた自己処罰 | 他者や物(外)に向けた他者攻撃 | 感覚の麻痺(逃避)・自己麻痺 |
| 無意識の声 | 「全部私が悪い」 「罰を受けるべきだ」 | 「自分なんて傷つけばいい」 「休む価値なんてない」 | 「お前のせいだ!」 「私を傷つけるな!」 | 「つらすぎるから麻酔をかけたい」 「今すぐ現実を忘れたい」 |
| 役割の例え | 「火種(ガソリン)」 絶え間なく自分を責めるエネルギー | 「厳しい監視員」 あらかじめ自分を痛めつけて攻撃を防ぐ | 「暴走した警備員」 脅威を感じて先手必勝で周囲を攻撃する | 「緊急の消火隊」 耐えがたい感情の火を衝動で消し去る |
| 具体的な行動例 | 「私がダメだから」と頭の中でぐるぐる悩み続ける | 限界まで休まず働く、絶食・自傷、自分を追い詰める選択をする | 大声で怒鳴る、暴言を吐く、物を叩く・壊す、八つ当たり | お酒を飲みすぎる、過食、過度な買い物やスマホ・ギャンブル |
一番の違いは「思い」か「行動」か
アクティング・イン、アクティング・アウト、
依存行動の3つは、その感情が言葉で
処理しきれなくなったときに生じる
「行動」です。
自罰感情は、心の中で燃えている
「思い(感情・思考)」そのものです。
具体例「お酒を大量に飲む」という同じ行動でも・・・
- アクティング・イン的な飲み方
「自分なんてダメな人間だ。
体を壊してしまえばいい」
「自分を罰するために飲む」という、
自分への攻撃性が根本にある場合。 - 依存行動的な飲み方
「しらふだと孤独や恐怖で
押しつぶされそうだから、
感覚を麻痺させたい」「現実を忘れたい」
という、一時的な麻酔が根本にある場合。
実は、この2つは「悪循環」でつながっている
臨床現場では、
この2つはきれいに分かれるわけではなく、
ぐるぐるとループしていることがよくあります。
- 行き場のない苦しみを
自分にぶつける(アクティング・イン) - その痛みに耐えきれず、
過食やお酒で感情を麻痺させる(依存行動) - 食べた・飲んだ後に
「またやってしまった」と激しく自分を責め、
体を痛めつける(アクティング・イン)
形は違っても、どちらも
「一人では抱えきれないほどの苦しみから、
必死で自分を守ろうとしてきた反応」なのです。
なぜアクティング・インが起こるの?
実は、アクティング・インの背景には
深い心の傷や、過去の経験による
「学び」があります。
特に幼少期にこんな経験がある方は、
アクティング・インの傾向を持ちやすいと
言われています。
- 親が不機嫌で、自分の感情を出すと怒られた
- 「いい子」でいないと愛されなかった
- 怒りを表現すると、関係が壊れると感じた
- 誰にも相談できず、一人で我慢してきた
つまり、怒りや悲しみを「外に出すのは危険」と
無意識に感じ、自分の内側に抑え込むことを
生き延びる手段として覚えてしまったんですね。

私自身の体験 〜アクティング・インと生きづらさ〜
私自身もかつて、
「生きているだけで申し訳ない」と
思いながら日々を過ごしていました。
ニュースで誰かが亡くなったと知るたびに、
「私が代わりに死ねばよかった」と
本気で思ってしまう・・・
まさに強い「自罰感情
(自分を責め・罰しようとする思い)」
に囚われていたんです。
「生きているなら、
せめて誰かの役に立たなければ
存在してはいけない」
そうやって自分を追い詰めた私は、
存在理由を作るために
「献血」を繰り返すようになりました。
「これでようやく人の役に立てている」
「自分の身(血液)を削ることで、
なんとか生きていていい理由を作れる」
と信じていたんです。
一見すると献血は社会貢献ですが、
当時の私にとっては「自分を極限まで痛めつけ、
過剰に差し出すことでしか自分を許せない」
という、無意識の「アクティング・イン
(自己処罰の行動)」でした。
満足に休むことも許さず、
自分を追い詰めることでしか
存在理由を保てなかったんです。
(その辺りの詳しい話は著書に書いています)
でもその後、向精神薬を飲み始めたことで
献血ができなくなりました。
アクティング・インという
「自分を罰しながら存在を証明する手段」
を失った瞬間、私は
「もう私には価値がない」と
強い絶望感に襲われました。
「誰かの役に立てない私は、生きていてはいけない」
当時はそうやって自分自身を
どんどん追い詰めていました。
でも今思えば、心の中にある
行き場のない苦しさや怒りを
誰かにぶつけることができず、
「自罰感情」という火種を抱えたまま、
すべて自分自身(アクティング・イン)に向けて
痛めつけることで、
必死に生き延びようとしていたんだと
気づきました。
アクティング・インの奥にある「パーツの声」
ここで少し、パーツ心理学の視点をご紹介します。
アクティング・インで現れる
自己批判や自傷の声は、
「あなたを守ろうとしているパーツの声」
ともいえます。
たとえば
- 「自分で自分のことをダメな人間だと言っておけば、他人から傷つけられないでしょ?」
- 「他人より自分を責めた方が安全だから」
- 「相手に合わせていたら、いつか愛されるかもしれないから」
このように、一見つらく見える行動も、
その人なりに傷つくことから自分を守り、
生き延びてきた知恵だったりもするんです。
では、どうやって向き合えばいいの?
アクティング・インへのケアは、
やさしく少しずつ内側とつながり直すことから
始まります。
すぐにやめよう!と力を入れすぎると、
かえって別のつらさが出てきてしまうことも。
ここからは、実際のカウンセリングでも
大切にしている5つのステップをご紹介します。
アクティング・インへの5つのケアステップ
① 気づく
まずは、「今、自分を責めてるな」
「また無力感に包まれてるな」と気づくことが
第一歩です。
気づくだけで、反応に「間」が生まれ、
少しずつ変化が起き始めます。
② 優しい言葉をかける
「また責めちゃってる、ダメだ」ではなく、
「そうなるくらい、つらかったんだよね」
「ここまで頑張ってきたんだよね」と
自分に寄り添う言葉をかけてあげることが、
心の回復にはとても大切です。
③ 安心できる体の感覚をつくる
身体が「危険」と感じているとき、
心も安心できません。
ゆっくりとした呼吸、グラウンディング、
温かいものに触れることなど、
身体から安心を取り戻すことで、
感情とのつながりも回復しやすくなります。
(関連記事:「心の傷は体が覚えている」ソマティック心理学で、安心を取り戻す方法)
④ 感情を出せる場所をもつ
本当は感じていた怒り、悲しみ、不安・・・
それらを少しずつ安全に外に出せる場があると、
アクティング・インは少しずつ減っていきます。
ノートに書く、信頼できる人に話す、
セラピーを受けるなど、
自分に合った方法を見つけてみてください。
⑤ パーツと対話する
責めてくる声、自傷に向かわせる衝動も、
「どうしてそんなふうにしてるの?」と
問いかけてみることが、深い癒しへの入り口です。
すると、「あなたを守りたかっただけなんだ」と
いう声が返ってくるかもしれません。

苦しみはあなたの「せい」じゃない
アクティング・インをしてしまうとき、
多くの人が「自分がおかしいのでは」
「私が弱いからだ」と思い込んでしまいます。
でも、そうではありません。
それはあなたが、
ただ一生懸命に生きてきた証です。
そして今ここから新しいケアの方法を知り、
「自分を大切にする力」を
育て直していけるんです。
少しずつでいい。
苦しみの奥にある「本当のあなたの声」に、
耳を傾けてあげてくださいね。
自分を責めるパターンから、やさしく抜け出していきませんか?
アクティング・インの背景には、
「誰にもわかってもらえなかった」
「感情を出すことが怖かった」
そんな深い孤独や傷つきが
隠れていることがあります。
もし今、「ずっとこのままは苦しい」
「自分を大切にできるようになりたい」と
感じているなら、ぜひお話を聴かせてください。
私のカウンセリングでは、
責めグセや無力感の奥にある
本当のあなたの声に、
やさしく丁寧に寄り添っていきます。
がんばりすぎてきた心に、ほっとできる時間を。
あなたのペースで、一緒に整えていきましょう。
もし長い記事が疲れるなと感じたら、
エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、
ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が
見つかるかもしれません。
エッセイはこちら












