パニック発作の仕組みと克服体験~30年以上の経験から見えた安心の方法
パニック発作とは一体何なのか?
突然、理由もなく
強烈な不安や恐怖に襲われる症状が
パニック発作です。
心臓がドキドキしたり、呼吸が浅くなったり、
「死んでしまうのでは」という
恐怖感が押し寄せます。
発作が繰り返されると、
予期不安が強まり日常生活に制限がかかることもあります。
私自身、10代で初めてパニック発作を経験し、
30年以上付き合ってきました。
電車に乗るとほぼ100%発作が起き、
カフェインやアルコールで
さらに強くなることもありました。
他の病気との兼ね合いがあり、
投薬治療は行われず、
症状は慢性化していました。
パニック発作は脳の生理的反応
パニック発作は「ただの気持ちの問題」
ではなく、脳の特定の部位が過剰に反応することで起こる生理的な現象です。
ここでは、発作に関わる脳の仕組みを
わかりやすく解説します。
1. 発作の中心:扁桃体
この過活動が、動悸や息苦しさ、
発汗などの身体症状を引き起こす
きっかけとなります。
扁桃体は「脳の警報装置」
とも呼ばれる部位です。
- 危険を感知すると即座に恐怖反応を引き起こします。
- パニック発作では、実際には危険がないのに、
扁桃体が過剰に活性化してしまいます。
- この過活動が、動悸や息苦しさ、発汗などの
身体症状を引き起こすきっかけとなります。
2. 発作に関わる脳の他の部位
前頭前皮質
- 理性的な判断や思考を司る部位
- パニック発作時には扁桃体の暴走を制御できず、恐怖が強まる
海馬
- 記憶を司る部位
- 過去のトラウマ体験とパニック発作を結びつけ、症状の再現を助長
視床下部
- 自律神経系の司令塔
- 発作時の動悸、発汗、呼吸困難などの身体症状を引き起こす
島皮質
- 扁桃体や前頭前皮質と密接に連携し、恐怖感や予期不安を増幅
- 内受容感覚(心拍や呼吸など体内情報)の処理中枢
- 身体感覚と感情を結びつけ、「身体で感じる恐怖」を生成
- 発作時には正常な心拍や呼吸の変化を
「危険信号」と誤解し、恐怖や破滅的思考のループを作り出す

神経伝達物質もパニック発作に関与している
ノルアドレナリン
役割:ストレスに反応して体や脳を覚醒させる神経伝達物質
パニック発作との関係:発作時に過剰に
放出され、心拍数の上昇や動悸、
過呼吸などの身体症状を引き起こす
セロトニン
役割:気分や不安を調整する神経伝達物質
パニック発作との関係:レベルが低下すると
不安感が高まり、発作の誘発に関わる
GABA
役割:脳の過剰な興奮を抑える
抑制性神経伝達物質
パニック発作との関係:機能が低下すると
神経の抑制が弱くなり、発作や過敏状態が
起こりやすくなる
長年のパニック発作を乗り越えた体験
私は薬を使わず、
カウンセリングや安心できる人間関係を通じて
心と体にアプローチしてきました。
その結果、パニック発作に特化した
治療を受けていなくても、
徐々に発作が出なくなり、
電車に乗ってもリラックスできる状態になりました。
先日電車に乗っている時、ふと
「自分が30年以上パニック発作に苦しんでいたことすら忘れていた」
と気づいたのです。
これは扁桃体が落ち着き、
脳が安全を認識している証拠だと感じています。
不安やイライラも脳の仕組みが関係
パニック発作だけでなく、
日常の不安やイライラも、
脳が「危険だ」と判断し
体を緊張状態にする結果です。
扁桃体の過活動が背景にあると考えられます。
私の経験から、
カウンセリングや安心できる人間関係を通して、
少しずつ回復していくことが可能です。
パニック発作から回復するために
パニック発作は「一生つきあうしかない」か
「薬で抑えて上手くやりすごすしかない」
と思われがちですが、
脳は変化します。
扁桃体の過活動を理解し、
心と体へのアプローチを続けることで、
発作が出なくなる可能性があります。
私自身も、発作が起こらなくなり、
日常生活で困らない自由な状態を
手に入れることができました。
パニック発作に効くセルフケア方法
パニック発作は脳の過敏な反応から起こります。
扁桃体や島皮質が「危険だ!」
と誤作動するのを、
日常生活のセルフケアで
少しずつ落ち着かせることができます。
1. 呼吸と身体のリラックス
- 緊張がほぐれるとGABAの働きがサポートされ、脳の過剰な興奮が減ります
- 腹式呼吸:息を鼻から吸い、ゆっくり口から吐く
- 心拍数や呼吸の乱れを抑え、扁桃体の暴走をやわらげます
- 軽いストレッチや肩回し:体の緊張をほぐす
2. 身体感覚への意識づけ(マインドフルネス)
- 心拍や呼吸、手足の感覚など「今の体の状態」に注意を向ける
- 島皮質が誤解している身体の変化を「今の一時的な感覚」と受け止めやすくなる
- 発作への恐怖感を減らし、破滅的思考のループを断ち切る手助けになります
3. 発作時の安全確認ワーク
- 「これは発作の一部で、命に関わる危険ではない」と自分に言い聞かせる
- 目を開けて周囲の安全を確認する
- 扁桃体の誤作動を理性でサポートするイメージです
4. 日常の習慣で脳を落ち着かせる
- 十分な睡眠:脳の興奮をリセット
- 軽い運動や散歩:ノルアドレナリンやセロトニンのバランスを整える
- カフェイン・アルコールを控える:扁桃体の過敏を刺激しやすい
5. 発作日記や記録で自己理解
- 発作が起きた時間、状況、身体の変化、思考をメモ
- 「このパターンなら落ち着けば大丈夫」とわかると、次の発作の不安が軽くなる
- 扁桃体や島皮質への「安心の学習」となります

カウンセリングで得られる安心
もし今、パニック発作や
強い不安に悩んでいるなら、
一人で抱え込む必要はありません。
カウンセリングでは、
安心できる環境で脳と心に働きかけ、
安全感を取り戻すサポートを行います。
あなたも「もう大丈夫」と感じられる
未来に向けて、一歩を踏み出せます。
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気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が見つかるかもしれません。
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