心の中はまるで“大家族”──厳しさも不安も、すべてはあなたを守るためだった
どうしてこんなにしんどいの?
「やりたいことがわからない」「頑張ってるのに満たされない」
そんな気持ちを抱えたこと、ありませんか?
頭では「自分を大事にしよう」「もっと自由に生きよう」と思っても、
なぜか行動に移せなかったり、自己否定ばかりが止まらなかったり。
実はその背景には、心の中にいる“いろんな自分たち”の存在が関係しているかもしれません。
今回は、パーツ心理学の視点を取り入れながら、あなたの内側で起きていることをわかりやすく紐解いていきます。
心の中にいる“いろんな自分”たち
私たちの心の中には、実はたくさんの「私」たちが暮らしています。
まるで、にぎやかな「心の大家族」。
たとえばこんなメンバーがいるかもしれません。
- 子どもの頃に傷ついたまま泣いている子
- 厳しくて完璧主義な父親のようなパーツ
- いつも先回りして心配してくる母親のような声
この“心の家族”は、一見すると厄介に見えるかもしれません。
でも実はみんな、あなたを守るために一生懸命やってきたメンバーなのです。
それぞれのパーツには「役割」がある
パーツ心理学では、こうした心の中の存在を「パーツ」と呼びます。
そして、どのパーツにもそれぞれに担ってきた大切な役割があります。
たとえば、
- 「人の顔色を気にするパーツ」→ 子どもの頃に家庭内で安全を確保するために必要だった
- 「いつも不安になるパーツ」→ トラブルを未然に防ごうとしてきた
- 「自分に厳しすぎるパーツ」→ 成績や成果で愛されようとがんばってきた
つまり、どのパーツもあなたが今ここに生きているために生まれた存在。
悪者なんかじゃないんです。
でも・・・今もしんどさを感じてるなら
ただ、そのパーツたちが今も昔と同じように動き続けていると、
大人になった今の私たちにはちょっと重たく感じることがあります。
たとえば、
- 新しいことに挑戦しようとすると「失敗するかも!」とブレーキをかけてくる
- 休もうとしても「もっと頑張らなきゃ」とせかしてくる
- 自分の意見を言おうとすると「人に嫌われるよ」と止めてくる
こんなとき、「また自分の性格が悪いんだ」「私は弱いんだ」と思ってしまいがちですが、そうじゃないんです。
パーツたちが、昔のままのルールで頑張り続けているだけなんです。
がんばり屋のAさんのケース
たとえば、Aさん(40代・女性)はいつも「ちゃんとしなきゃ」が口ぐせでした。
仕事も家のことも完璧にこなそうとして、休むことに罪悪感を感じていたんです。
カウンセリングの中で浮かび上がってきたのは、「小さい頃、家でお母さんの機嫌を取るために、いつも“いい子”でいた私」
そのパーツは、今もAさんの中で「ちゃんとしないと見捨てられるよ」と言い続けていたのです。
でもAさんはもう大人で、自分の人生を自分で選んでいける人になっていました。
そのことを丁寧に伝え、パーツの存在を労ったことで、Aさんは少しずつ「ちゃんとしなくても大丈夫」と思えるようになっていきました。

パーツたちとの「関係」を変えていく
パーツ心理学のアプローチでは、パーツを“なくそう”とはしません。
むしろ、それぞれの声に耳を傾け、その役割を理解し、必要に応じて新しい役割を与えるという
「対話」と「関係性」の変化を大切にします。
心の中にこんな言葉をかけてみましょう:
- 「これまでずっと守ってくれてありがとう」
- 「もう大丈夫だよ、私は今、安全だよ」
- 「もしよかったら、もっと楽で穏やかな役割に変わってみない?」
すると、ガチガチだったパーツも、少しずつ柔らかく、協力的になっていきます。
自分の中と仲直りするということ
「なんで私はこんなにしんどいんだろう」
そう感じたとき、まずは外側の状況だけじゃなく、内側でどんなパーツが声を上げているのかに気づいてみてください。
自分の中で戦っていた“大家族”が、少しずつ“チーム”として動き出すと、心の中に穏やかな空間が生まれていきます。
心の中の家族と、仲良く暮らしていこう
私たちの心の中は、にぎやかな大家族。
それぞれが必要な役割を担って、今のあなたを支えてきた大切な存在です。
もう、しんどい役割は降りてもいい。
もっと楽で、あなたらしい役割に変えていけばいい。
その第一歩は、自分を責めるのをやめて、「ありがとう」「おつかれさま」と、心の中の声に語りかけることかもしれません。

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「頭ではわかってるのに、心がついてこない」
「昔のことがまだ尾を引いている気がする」
そんなあなたに寄り添いながら、心の中のパーツたちと向き合うお手伝いをしています。
誰かに話すことで、ひとりでは見えなかったものが見えてきます。
ぜひお気軽にご相談くださいね。
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気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が見つかるかもしれません。エッセイはこちら