「隠れ機能不全家族」とは?~特徴と、気づきにくいアダルトチルドレンの生きづらさ~
一見「普通」に見える家庭が、隠れ機能不全家族かもしれない理由
そう思ったのは、まだ子供の頃でした。
私が育った家庭では、暴力や怒鳴り声が日常茶飯事。
当時はそんな環境が“当たり前”だったけれど、友達の家庭を見て「うちは少しおかしいかもしれない」と気づくことがありました。
もちろん、子どもの頃は「機能不全家族」なんて言葉も知らなかったし、何がどうおかしいのかもわかりません。
ただ、「なんだか苦しい」「なんでこんなに生きづらいんだろう」とずっと感じていました。
カウンセラーになり、たくさんの人の話を聞くようになってから気づいたことがあります。
それは――
目に見える暴力や虐待がなくても、心が深く傷つく家庭はたくさんあるということです。
(アダルトチルドレンと家族関係についての記事はこちら)
気づかれにくい機能不全家族の特徴とは?
「大きなケンカもなかった」
「怒られた記憶もあまりない」
「ごはんも食べさせてもらってた」
それなのに、生きづらさを感じている。
そんな人は、実はとても多いのです。
よくよく話を聞いてみると・・・
- 家の中でリラックスできなかった
- 何を言っても否定される気がして、言いたいことが言えなかった
- 親の顔色をうかがってばかりだった
- 家庭に「温かい心の交流」がなかった
こんな家庭は、外から見ると“普通”に見えても、子どもにとっては安心できない場所です。
なぜ「気づきにくい」のか?
暴力やネグレクトがあれば、「それはおかしいよ」と誰かが気づいてくれるかもしれません。
でも、「冷たい空気」や「過度な期待」「沈黙の支配」など、表に出にくい心の圧迫は、他人からも、自分からも気づきにくいのです。
しかも子どもの頃は、他の家庭と比較する機会もほとんどないので、「これが普通」「親ってこういうもの」と思い込みやすいのです。
隠れ機能不全家族で育ったアダルトチルドレンの生きづらさ
こうした家庭で育つと、以下のような心の状態になりやすくなります。
- 「自分なんて大切にされる価値がない」と感じる
- 自己肯定感が育ちにくい
- 人間関係に強い不安がある
- いつも緊張していてリラックスできない
- なぜかいつもイライラしたり、不安を抱えている
実際、交感神経が優位になりっぱなしで、常に身体が「危険」に備えた状態になってしまっている人もいます。
こうなると、何でもないことに敏感に反応し、「生きてるだけでしんどい」と感じてしまうのです。

機能不全家族の特徴とは?
では、どんな家庭が機能不全と言えるのでしょうか?
以下のような特徴が当てはまる場合、その可能性があります。
【機能不全家族の主な特徴】
- 怒りが頻繁に爆発する
- 愛情表現がほとんどない・冷たい
- 心理的・身体的・性的な虐待がある
- 子どもを他人と比較する(兄弟間同士などでも)
- 否定・批判が多い
- 過剰な期待をかける
- 学歴・社会的地位・お金への執着が強い
- 世間体を過剰に気にする
- 親が病気がち・不在がち
- 子どもが親の役割を担っている(親子逆転)
- 両親や家族間の不仲
- 子どもをバカにする・無視する
- プライバシーがない
- 子どもをストレスのはけ口にする
一見普通に見える家庭でも、これらが隠れている場合、子どもは深い孤独と緊張の中で育つことになります。

「自分の家庭は大丈夫だった」と思っていた方へ伝えたいこと
子どもが子どもらしく、安心して過ごせる家庭。
それが「健全な家庭」です。
でも、もしあなたが「気を遣ってばかりだった」「心が休まる時間がなかった」と感じるなら――
その家庭は、子どもにとって十分に安全な場所ではなかったのかもしれません。
だから、生きづらさがあって当然なのです。
あなたのせいではありません。
あなたのせいじゃない。今から心を癒すためにできること
子ども時代にどれだけ頑張ってきたとしても、その影響をずっと引きずる必要はありません。
ゆっくりでいい。
少しずつ、自分の心と体の緊張をほどいてあげましょう。
心が緩んでくると、
「自分には価値がある」
「この世界は少しずつ安心できる場所かもしれない」
そう思える瞬間が増えてきます。
気づきが、回復の第一歩
「自分の育った家庭は“普通”だと思ってた」
でもそれが、あなたの生きづらさの原因だったとしたら――
そこに気づいたあなたは、もうすでに回復の第一歩を踏み出しています。
あなたは悪くありません。
これからは、少しずつ“本来のあなた”を取り戻していけます。

もしあなたが「生きづらさの正体がわからないまま、ずっと頑張ってきた」と感じているなら──
それはあなたのせいではありません。
もしかしたら、当たり前だと思っていた家庭環境の中に、生きづらさのルーツが隠れていたのかもしれません。
私は、同じように「なんでこんなに苦しいんだろう」と感じていた過去を持っています。
だからこそ、あなたが安心して本当の気持ちを話せる場所をつくりたいと思っています。
トラウマケア専門家として、心の仕組みや身体の反応を大切にしながら、少しずつ「自分を責めない生き方」を取り戻していけるようサポートしています。
どうか一人で抱え込まないでくださいね。
あなたのペースで、一歩ずつでも大丈夫です。
心と体をゆるめるお手伝いができたらうれしいです。
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