病気が教えてくれること──自己犠牲をやめて、わたしの人生を生きるために
病気が教えてくれるもの
「病気になって、死生観が変わった」
そう語る人は少なくありません。
でも、病気はただ身体を痛めるために起きるのではなく、「生き方を変えなさい」という、命からのメッセージであることがあります。
私の母がそうでした。
そして私自身も──。
母が教えてくれた「自己犠牲の代償」
母は、自己犠牲そのものでした。
自分のことは常に後回し。
家族のために働き、休みもなく、楽しみの時間も自分には与えず。
家庭の中で一番働いていたのに、一番自分を労わっていなかった人でした。
実はそれは、母が育った環境に根差しています。
貧しい家の長女に生まれた母。
幼い頃から兄弟姉妹の世話をし、自分の欲求を我慢することが当たり前の毎日。
「自分を後回しにすることが愛」──そう信じていたのかもしれません。
でも、その生き方は、やがて母の身体に重くのしかかります。
突然の病──「もう限界だよ」のサイン
ある日、母は突然倒れました。
体の自由だけでなく、言葉も奪われてしまったのです。
それから約20年。
車椅子での生活が続きました。
誰かの手を借りなければ、食事も、移動も、排泄もできない日々。
あのとき母は、人生のすべてを変えざるを得なくなりました。
人に頼ること。
甘えること。
世話をしてもらうこと。
それらすべてが、病気を通して与えられた新しい「生き方」でした。

自己犠牲は、美しさではなく、命をすり減らすこと
「自己犠牲」は、一見するととても美しい生き方に見えるかもしれません。
でも、それは自分を粗末に扱う生き方です。
「私さえ我慢すればいい」
「私が頑張ればうまくいく」
そう思い続けて、自分の声を無視し続けると、やがて体が限界を知らせてきます。
母にとって病気は、もうこれ以上頑張らなくていいよ、というメッセージだったのかもしれません。
私自身の体験──15年の不調と気づき
母のことがあったにもかかわらず、私自身も同じ道をたどりました。
「誰かのために」「迷惑をかけないように」と、自分の限界を無視して生き続けた結果、ある日突然、動けなくなりました。
そこから回復に15年。
症状だけを治そうとしても、根本的な生き方を変えなければ、何度でも同じ壁にぶつかると知りました。
体は、ちゃんと教えてくれていたんです。
「もう無理して生きないで」って。
小さなサインを見逃さないで
今思えば、「あれがシグナルだったのかも」と思う小さなサインはいくつもありました。
・突然のケガ
・原因不明の不調
・何度も繰り返す症状
・眠れない夜
・朝のだるさ
それでも私は「これくらい大丈夫」と自分を押し込め、「こんなの甘えだ」と無視してしまいました。
(著書に詳しく書かせていただいております)
でも、体は正直です。
無理を重ねるほどに、命の灯がすり減っていきます。
生き方を変えるって、どういうこと?
では、どうやって「生き方を変える」のか。
それは、「自分を大切に扱う」ことから始まります。
・ちゃんと寝る
・ちゃんと食べる
・疲れたら休む
・嫌なものは嫌と伝える
・助けを求める
・一人で抱え込まない
どれも当たり前のことのようで、自己犠牲を生きてきた人にはとても難しいことです。
でも、それを一歩ずつ練習していくことが、「命を守る生き方」につながります。
病気をきっかけに、自分を生き直す
病気はできればなりたくないもの。
でも、なったからこそ見える世界もあります。
・本当に大切なものが見える
・人とのつながりが深まる
・自分を思いやる感覚が育つ
・人生の価値観がガラッと変わる
だから私は、こう思うのです。
病気は「壊れるため」ではなく、「生き直すため」にやってくるのかもしれない。
もう限界まで頑張らなくていい
これを読んでいるあなたがもし今、
「もうしんどい」
「いつまでこの生活を続けるんだろう」
と感じているなら、それはあなたの体からのメッセージです。
どうか、無理しないでください。
どうか、「自分を大切にすること」に、罪悪感を持たないでください。
生き方は変えられます。
たとえ今がどれほど苦しくても。
命を守る生き方へ
私の母のように、体が壊れてしまう前に。
私自身のように、長い不調に苦しまないために。
どうか、今の生き方を見直してみてください。
少し立ち止まり、自分の声に耳を傾けてみてください。
それは「甘え」ではなく、命を守る勇気ある選択です。

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