なかなか変われないのは脳のせい?アダルトチルドレン特有の闘争・逃走システムと解除法
あなたが変われない理由は脳のシステムかもしれない
「もっと前向きにならなきゃ」
「もうイライラしたくない」
「緊張しない自分になりたい」
そう何度も思ったのに、気づけば同じパターンを繰り返してしまう。
そんな自分に、ガッカリしたことはありませんか?
アダルトチルドレンの方からよく聞くのは、価値観や思考を見直したはずなのに、やっぱり落ち着かない・すぐイライラする・安心できない・・・という悩みです。
そして、「またできなかった」「やっぱり私が弱いからだ」と、自分を責めてしまうことも。
でも、その変われない理由――
もしかしたら、あなたの性格や努力不足のせいではなく、「脳のシステム」のせいかもしれません。
どれだけ頑張っても抜けられない「緊張状態」
子どもの頃、あなたの家は本当に安心できる場所だったでしょうか?
もし「親の機嫌が悪くないか」「怒られないようにしなきゃ」と、いつも周りを気にしていたなら、脳は常に危険を察知するモードで過ごしてきたはずです。
この状態を、心理学や神経科学では「闘争・逃走反応」と呼びます。
これは本来、命を守るための大切な機能です。
しかし問題は、それが大人になっても解除されず、ずっと続いてしまうこと。
結果として、どんなに安全な場所にいても、脳は「何かが起きるかもしれない」と体に緊張を命令し続けます。

子どもの頃の環境が脳を変える
私たちの脳は、特に幼少期に大きく形作られます。
安全な家庭で育った子どもは、安心して遊び、好奇心を伸ばし、社会交流を楽しむ神経回路が発達します。
でも、アダルトチルドレンの多くはその逆。
家庭内で安心感を得られず、常に警戒心を持って育ちました。
すると脳は「ここは危険な場所だ」と判断し、闘争・逃走モードをデフォルトに設定します。
それはまるで、火災報知器が常に鳴りっぱなしのような状態。
安全でも、鳴り止まないのです。
臨戦態勢が当たり前になる仕組み
脳の中でも特に古い部分(脳幹や扁桃体)は、意識や思考よりも先に体を動かします。
これは進化の過程で命を守るために備わったシステムです。
だからこそ、「落ち着こう」「もう安全だから大丈夫」と頭で思っても、体が勝手に緊張してしまうのです。
この状態が長く続くと、リラックスする感覚そのものがわからなくなります。
「安心する」という体験が少ないため、神経もその方法を忘れてしまっているのです。
大人になっても解除されない理由
あなたが親元を離れ、安心できる家に住み、優しい人に囲まれていても脳は「安全だ」とは簡単に信じません。
それは長年、危険な環境で育った経験が「安全よりも危険が起きる確率が高い」と学習してしまっているからです。
この学習は、意志や論理だけでは書き換えられません。
つまり、自己啓発や思考の書き換えだけでは限界があるのです。
(関連記事:トラウマ克服の第一歩は「心地よさ」を感じることから始まる)
意志では変えられない「原始的な防御反応」
闘争・逃走システムは、脳の原始的な領域で管理されています。
ここは理性よりも速く働き、命を守るためなら心臓の鼓動を上げ、筋肉を固め、呼吸を浅くします。
あなたが「もう大丈夫」と思っても、この部分が「危険!」と判断すれば、体は勝手に防御態勢を取ります。
つまり、変わるためにはまずこの「原始的な防御反応」を解除してあげる必要があるのです。
まずは「安心・安全」を体に覚えさせる
解除の第一歩は、脳と体に「今は安全だ」と教えてあげること。
それも一度ではなく、何度も繰り返し経験させることが大切です。
安心感は、言葉や理屈だけではなく、五感を通じて感じる必要があります。
・柔らかい布団にくるまる
・温かい飲み物をゆっくり味わう
・心地よい音楽を聴く
・優しい人の声を聞く
こうした小さな「安心体験」を日常に積み重ねていくことで、神経は少しずつ緩みます。

心地よさが神経を緩める
心地よさは、神経にとって「安全の証」です。
その感覚が積み重なると、闘争・逃走モードが徐々に弱まり、社会交流モード(人と関わる時に働く神経)が回復していきます。
大切なのは、無理にポジティブになろうとするのではなく、まず「ほっとする感覚」を取り戻すこと。
少しずつ緊張を解くための習慣づくり
闘争・逃走システムはスイッチのように一瞬で切り替わるものではありません。
長年かけて固まった筋肉や浅くなった呼吸は、少しずつ緩めていく必要があります。
おすすめは、毎日ほんの5分から始めること。
・深呼吸ではなく「ゆっくり息を吐く」ことに集中する
・足裏の感覚に意識を向ける
・手を胸に当て、自分を抱きしめるようにしてみる
こうしたシンプルな習慣でも、積み重なれば脳と体は確実に変わっていきます。
カウンセリングでできること
一人ではなかなか安全感を育てられない場合、カウンセリングは大きな助けになります。
カウンセラーとの関わりの中で、安心できる関係を体験することが、神経にとっての「安全の再学習」になるからです。
私のカウンセリングでは、
・今の状態に合った無理のない方法
・その人にとって心地よいアプローチ
・安心できるペースでの進行
を大切にしています。
あなたは変われる
もし今まで何を試しても変われなかったなら、それはあなたのせいではありません。
脳がまだ「危険から守るモード」にいるだけです。
闘争・逃走システムは解除できます。
それには時間と安心感の積み重ねが必要ですが、必ず変わります。
カウンセリングのご提案
カウンセリングでは、あなたのペースで安心感を取り戻し、少しずつ脳と体の緊張を解いていくサポートをしています。
あなたが「本当に安心して生きられる日常」を手に入れるために、一緒に進めていきましょう。
まずはお気軽にご相談ください。
気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が見つかるかもしれません。エッセイはこちら