アダルトチルドレンが成功できない理由 ― 心のブレーキを外して、自由に生きる
アダルトチルドレンが成功できない理由は、過去の体験にあるかもしれません
「あと少しだったのに」
「チャンスは来たのに、なぜか逃げてしまった」
「努力したのに、本番になるとうまくいかない」
そんなふうに、何度も同じパターンをくり返してしまうと、自信が持てなくなってしまいますよね。
「私って根性がないのかな」「成功できる器じゃないんだ」なんて、自分を責めてしまう方も少なくありません。
でも、もしそれが「無意識のブレーキ」だとしたらどうでしょう?
あなたの中に「成功しない方がいい」と思っている“別の私”がいて、その子があなたを守っているとしたら?
この記事では、アダルトチルドレンの方が抱えやすい「成功することへの怖れ」の背景を、ポリヴェーガル理論やパーツ心理学をもとに、わかりやすく丁寧に解説します。
うまくいかないのは、あなたのせいではありません。
むしろ、あなたの心があなたを守ろうとしてきた証なんです。
本日は、その仕組みをわかりやすくお伝えします。
「アダルトチルドレン」と「成功が怖い」心理
「アダルトチルドレン(AC)」とは、機能不全の家庭環境で育ち、大人になっても生きづらさを感じている人たちのことをいいます。
その生きづらさは様々ですが、中でも見落とされがちなのが、「成功が怖い」という感情です。
たとえば、こんな経験はありませんか?
- がんばってきたのに、本番でいつも緊張して失敗する
- 周囲に評価され始めると、なぜか体調を崩す
- チャンスを前にすると、別の問題が起きて進めなくなる
これらは、成功すること=危険という無意識の認識が働いている可能性があります。
子ども時代の記憶がブレーキになる
ACの方の多くは、子どもの頃に「目立つと叩かれる」「褒められると嫉妬される」などの体験をしています。
たとえば、
✔ 先生に褒められて、友達にいじめられた
✔ 成績がよくなると、兄弟に冷たくされた
✔ 親に期待されすぎて、失敗が許されなかった
こうした体験は、心の奥に「成功は危ないこと」というメッセージを残します。
子どもは、自分を守るために「成功しなければ安心できる」と学習し、それが神経系の反応パターンとして刷り込まれるのです。
「あと一歩」で失敗するのはなぜ?
あと一歩、というところでうまくいかない。
何度もくり返すうちに、「またか・・・」と、自分を責めてしまうかもしれません。
でも実はこれ、「サボっている」のでも「自信がないから」でもなく、あなたの神経系が“安全”を優先しているだけなんです。
ポリヴェーガル理論から見る「ブレーキ」
ポリヴェーガル理論によると、私たちの神経系には3つの状態があります。
- 社会交流モード(安心・つながり)
- 闘争・逃走モード(警戒・興奮)
- シャットダウンモード(無力・解離)
成功が近づいてくると、無意識に過去の「危険だった記憶」が呼び起こされます。
その瞬間、神経系は「これは危ない!」と判断して、あなたを守るために闘争モードやシャットダウンモードにスイッチしてしまうのです。
それが、
- プレッシャーで頭が真っ白になる
- 謎の体調不良に襲われる
- いきなりやる気が消えてしまう
といった“あと一歩の失速”として表れるのです。
パーツ心理学で見る「成功させたくない私」
パーツ心理学では、私たちの心にはいろんな「私」がいると考えます。
表面的には「成功したい!」と思っていても、心の奥にはこんな“パーツ”がいるかもしれません。
- 「成功するとまた傷つくから、やめておこう」と言う【守りの私】
- 「成功したら人に嫉妬される」と思い込む【過去の記憶を抱えた私】
- 「どうせうまくいかない」とあきらめている【あきらめの私】
これらのパーツたちは、あなたを傷つけまいと必死に守ってきた存在です。
だから、たとえうまくいきそうになっても、「ちょっと待って!危ないよ!」とブレーキをかけてしまうのです。

ブレーキをかける「私」に寄り添うには?
「成功させまいとする自分」を変えたい。
そう思えば思うほど、「また邪魔してる」「足を引っ張ってる」と、嫌悪してしまいがちです。
でもね、それではうまくいかないんです。
敵にせず、仲間にする
「成功しないほうがいい」とささやく“私”は、本来あなたを守ってくれていた存在です。
たとえば、
- 子どもの頃、目立ってしまったことでいじめにあった記憶
- 成功したら、親や兄弟から責められた経験
- がんばっても「調子に乗るな」と言われたトラウマ
こうした過去の記憶が、「成功=危険」と神経系に刷り込まれているとしたら?
成功へのブレーキをかける“私”は、過去のあなたの「防衛隊長」だったのです。
「ありがとう」と言ってみる
パーツ心理学では、こうしたブレーキ役の“私”にもまずは感謝を伝えることからはじめます。
「今まで守ってくれてありがとう」
「成功しないことで、私を安全に保ってくれてたんだね」
そうやって、無理やり排除しようとせず、少しずつ味方につけていくのです。
すると、防衛的な“私”たちもだんだん安心して、心の中で穏やかな協力関係が生まれてきます。
神経系からの回復と再配線
ポリヴェーガル理論によると、神経系は経験によって変化(再配線)することがわかっています。
つまり、「成功=危険」だった神経回路も、「成功=安心、安全」へと書き換えられるのです。
再配線のための3つのアプローチ
●体を通じて「今ここ」に戻る
深呼吸、ストレッチ、香り、音楽など、五感を使って「今・ここ」に意識を戻すことが、シャットダウンを防ぎます。
●安心できる人とのつながりを持つ
人とのあたたかな関係は、神経系を「安心モード」へ導きます。
●小さな成功体験を味わう
いきなり大きな成功ではなく、ほんの少し「うまくいった」経験を重ねることが大切。

カウンセリングでできること
あなたが今、「なんで私はこうなんだろう」と悩んでいることは、実はすべて理由があります。
ポリヴェーガル理論やパーツ心理学の視点から見ると、それはあなたが“ちゃんと生き抜いてきた証拠”でもあります。
カウンセリングでは、
- 「成功したいのに怖い」気持ちの根っこを安全に探っていく
- ブレーキをかけていた“私”に優しくアプローチしていく
- 新しい回路を育てていくリソース(資源)を一緒に探していく
そんな時間を、丁寧に、安心の中で進めていきます。
あなたには、成功していい理由がある
「成功してもいい」
「安心して輝いていい」
あなたには、その権利があります。
むしろ、これまで頑張ってきたあなたには、幸せになる義務があります。
もしも今、「もうひとりでは難しいかも」と感じていたら、ぜひカウンセリングにいらしてください。
あなたの「成功を恐れない人生」のはじまりを、そっとお手伝いできたら嬉しいです。
もし長い記事が疲れるなと感じたら、エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が見つかるかもしれません。エッセイはこちら