なぜアダルトチルドレンは人間関係がうまくいかないのか?〜トラウマ反応と脳のシステムから優しく読み解く〜

この記事の内容



人間関係がしんどいのは“あなただけ”じゃない


「人と関わるのが怖い」「本音を言えない」「嫌われたかもといつも不安になる」

そんなふうに感じて、人間関係がうまく築けないと悩んでいませんか?

もしあなたがそうなら、まず安心してください。

それは、あなたの性格が悪いわけでも、努力が足りないわけでもありません。

私のカウンセリングに来られる方の中にも、こうした悩みを抱える方が本当にたくさんいらっしゃいます。

特に、アダルトチルドレンや機能不全家族で育った方に多く見られる傾向です。

そしてその背景には、トラウマや神経系の働き、そして“心の構造”そのものが深く関わっています。

今日はそんな人間関係のしんどさについて、ポリヴェーガル理論やパーツ心理学という視点から、やさしく解説していきたいと思います。
(関連記事:人が怖いのはなぜ?トラウマがつくる「怖さ」とその正体



表面的な原因ではなく、脳と心の仕組みに理由がある


「人間関係がうまくいかないのは、自分が人見知りだから」

「嫌われるのが怖いのは、自分が弱すぎるから」

そうやって、つい“性格のせい”にしてしまうこと、ありませんか?

でも本当は、それは過去の経験によってつくられた反応なんです。

たとえば子どもの頃、こんな経験はありませんでしたか?

  • 親の機嫌にいつも振り回されていた
  • 自分の気持ちより、親の期待を優先させていた
  • 褒められるより、叱られることが多かった
  • 家族の中に安心できる居場所がなかった


こうした環境の中では、「自分はありのままで愛される存在だ」と感じることがとても難しくなります。


そしてその影響は、大人になってからの人間関係にも色濃く残っていきます。


人間関係に悩む人のイメージを頭を抱える女性の画像で表現



ポリヴェーガル理論から見る「人間関係のストレス」


「ポリヴェーガル理論」という考え方では、私たちの自律神経の働きが、人間関係の感じ方や反応に大きく関わっているとされます。

私たちの体には、生き延びるための防衛反応が備わっています。

たとえば

  • 交感神経:戦う or 逃げる(イライラ・焦り・攻撃・不安)
  • 背側迷走神経:フリーズ・シャットダウン(無気力・引きこもり・無感覚)
  • 腹側迷走神経:安心・つながり・好奇心(人との心地よいつながり)

アダルトチルドレンの方は、幼少期に安心を感じる体験が少なかったため、この「腹側迷走神経」のスイッチが入りにくくなっています。

つまり、人と関わる=危険があるかもしれないと、体が無意識に判断してしまうのです。

その結果、

「急に不安になる」「拒絶されたと感じて引きこもる」「イライラして距離をとってしまう」

といった反応が起こりやすくなります。



パーツ心理学から見る「心の中の葛藤」


もう一つの視点として「パーツ心理学」もとても大切です。

人の心には、いくつもの“部分(パーツ)”が共存していると考えるのがこの心理学の特徴です。

たとえば、人との距離がうまく取れないとき、こんなふうに心の中でせめぎ合いが起きていませんか?

  • 「本当は仲良くなりたい」パーツ
  • 「でも傷つくのが怖い」パーツ
  • 「相手に嫌われたくない」パーツ
  • 「どうせ自分なんて」と諦めているパーツ


それぞれのパーツは、過去の経験に根ざして自分を守ろうとしている存在です。


たとえば、小さな頃に「自分の気持ちを出したら否定された」という経験があると、


「だったら最初から本音を言わないほうが安全」と学習します。


それが大人になっても無意識に働き、人との関係にブレーキをかけてしまうのです。

人との関係にブレーキをかけるイメージを「でも」「だって」と言い訳する人形の画像で表現

 
認知の歪みと、過去の体験がつくる“解釈”


たとえば、あなたが誰かを食事に誘って「その日は予定があるんだ」と断られたとします。

このとき、安心できる関係性の中で育ってきた人であれば、「あ、予定があるんだな。じゃあまた別の日に誘ってみよう」と、あっさりと受け止められるかもしれません。

でもアダルトチルドレンの方は、無意識のうちにこんなふうに考えてしまうことがあります。

「断られた・・・私のこと嫌いなのかな・・・もう誘うのはやめておこう」

この「嫌われたかも」という発想は、実は過去の体験と深くつながっているんです。

子ども時代に、親に気持ちを伝えたら怒られた、無視された、バカにされた。

そんな経験が繰り返されると、心の中に「人に気持ちを伝えると傷つく」という思い込みが根付きます。

その結果、現在の出来事にも、“過去のレンズ”を通して反応してしまう。

だから、ただの「予定があるから行けないね」という言葉すら、「自分を否定された」「もう好かれていない」と歪めて受け取ってしまうんです。



でもそれは“あなたのせい”じゃない


こういった反応が起こるのは、あなたが悪いからではありません。

むしろそれは、「心と体を守るために必要だった反応」なんです。

子どもにとって家庭は、生きるためのすべてです。

親の顔色をうかがい、気を使い、自分を押し殺してでも関係を壊さないようにする。

それが“安全”だったから、そうやって生きてきた。

あなたの中のパーツたちは、ずっとあなたを守ろうとしてくれていたんです。

たとえ今、その反応が人間関係を難しくしていたとしても、それは「昔のあなたにとって必要だった力」だったんです。



 新しい関係性を築くためにできること


でも、ここからが大切なところ。

その反応パターンは、今から変えていくことができます。

それにはまず、「安心できる体験」を少しずつ増やしていくことが大切です。

ポリヴェーガル理論では、神経系は“安全”を感じることで初めて緩み、人とのつながりを受け入れられるようになるとされています。

たとえば・・・

  • 深呼吸をして、自分の体の感覚に意識を向ける
  • 信頼できる人と、心地よい時間を過ごす
  • セラピーやカウンセリングの中で、安心の感覚を育てる


そしてパーツ心理学の視点では、「不安なパーツ」「怖がっているパーツ」「諦めているパーツ」など、自分の中にいるいろんな“私”に気づいてあげることも、とても大事。

誰かとつながりたい気持ちも、怖くてひとりになりたい気持ちも、どちらもあなたの一部。

「どっちが正しいか」ではなく、「全部の自分にOKを出していく」ことが、自分との信頼関係をつくる第一歩です。



人生は、ここから変えられる


「過去と他人は変えられない。でも、自分と未来は変えられる」


この言葉、聞いたことがあるかもしれません。


でもこれ、ほんとうにその通りなんです。


たとえ今まで、何年、何十年と苦しんできたとしても、「今ここ」から、自分との関係、人との関係を変えていくことはできます。

大切なのは、自分を責めないこと。

うまくできない日があっても、怖くてまた閉じこもってしまっても、それでも「大丈夫だよ」「ここにいていいよ」って、自分に優しく声をかけてあげてください。

私がカウンセリングでお伝えしているのは、“正しい方法”よりも、“安心できる土台”を少しずつ築くこと。

その上で、自分の人生を、自分の手でやさしく創り直していくお手伝いをしています。

あなたがこれまで乗り越えてきた痛みや悲しみは、これからの人生の「優しさ」や「強さ」に変えていけると、私は信じています。

どうか、あなたの心に「希望」が灯りますように。


希望の灯りのイメージをキャンドルの炎の画像で表現





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