なぜアダルトチルドレンは他人との境界線が曖昧なのか ― 境界線を引く力を取り戻すには?
自分のことなのに、自分で決められない
「誰かに許可をもらわないと、何かを始められない」
「自分の気持ちよりも、周りを優先してしまう」
そんな風に感じることはありませんか?
アダルトチルドレンの方には、自分と他人の境界線が曖昧で、自分の意思をうまく扱えないことがあります。
本当は「自分の人生を自分で選びたい」と思っているのに、誰かに合わせてしまい、後から苦しくなる。
そんな経験を繰り返してきた人も多いのではないでしょうか。
でも、それにはちゃんと理由があるんです。
他人の気持ちばかり優先してしまう理由
アダルトチルドレンの特徴のひとつに、「他人の感情や欲求を優先しすぎてしまう」という傾向があります。
それは、ただ「優しいから」ではありません。
子どもの頃から、自分の欲求よりも「親の機嫌」「親の都合」に合わせて生きてきた経験が、無意識に染みついているからです。
たとえば、
- 親が不機嫌になると、自分のせいだと感じた
- 自分の意見を言うと、怒られた・拒否された
- 親の希望を叶えれば、愛されると思っていた
こういった体験が続くと、「人と違う意見を持つこと」や「自分の気持ちを優先すること」が怖くなってしまうんです。
境界線が曖昧になる「子ども時代の体験」
子どもは、親から見捨てられると生きていけません。
だからこそ、どんなに無理をしてでも、親の期待に応えようとします。
けれどもし親自身が、自分と子どもの境界線を引けていなかったら?
たとえば、
- 子どもの選択を尊重せず、すべて親が決めてしまう
- 親の機嫌や感情の責任を、子どもに押しつける
- 「あなたのせいで○○なんだから!」と子どもを責める
こんな環境で育つと、子どもは「自分の領域」を持てなくなります。
知らないうちに、親の感情の中に巻き込まれ、親の希望=自分の使命だと思ってしまうのです。
親の不機嫌を引き受けていた小さな私
たとえば、親がいつもイライラしていたら、「自分が悪いから怒らせてしまったのかも」と思ってしまう。
そうして子どもは、親の機嫌を取ることに必死になります。
「今日は大丈夫かな?」と顔色をうかがい、言いたいことを飲み込んで、親が笑ってくれたら、ほっとする。
これを何年も繰り返すと、自分の気持ちよりも、他人の感情を優先するクセが身についてしまいます。

境界線を持つことが「怖い」と感じてしまうとき
自分と他人の間に、きちんとした線を引く。
これは大人になれば当たり前のことのようですが、アダルトチルドレンにとっては、とても難しい作業です。
なぜなら、子どもの頃に「境界線を持つこと=拒絶されること」だったから。
- 自分の意見を言う=親に嫌われる
- 親に逆らう=愛されなくなる
こうした体験の記憶が、「大人になった今」も心の奥に残っていて、誰かと距離をとろうとするとき、「怖さ」が湧いてきます。
自分のためにNOと言うことに、罪悪感が出るわけ
もしあなたが、いつも人のために動いてばかりで、たまに自分を優先しようとすると、罪悪感を感じてしまうとしたら。
それも、子どもの頃の経験が関係しています。
「自分を優先してはいけない」
「我慢してこそ、価値がある」
「人のために尽くすことが愛される条件」
そんなメッセージを、どこかで受け取ってきませんでしたか?
その結果、自分のためにNOを言うと、「冷たい人間なんじゃないか」「自己中心的だと思われるかも」と感じてしまうのです。
境界線を取り戻すことは、自分を生きること
でも本当は、あなたには自分の気持ちを大切にする権利があります。
他人の感情を引き受けなくてもいいし、無理に合わせる必要もない。
境界線を引くというのは、「自分の人生を、自分の手に取り戻すこと」なんです。
もちろんすぐにはできないかもしれません。
でも、ゆっくりで大丈夫です。
少しずつ、「自分の声」に耳を澄ませていけば、あなたの中にちゃんと「自分の輪郭」が戻ってきます。

ゆっくり、確実に ― カウンセリングという安全な場所で
トラウマやアダルトチルドレンの背景を持つ人にとって、「境界線を引く」というのは、ただのスキルではなく、感情と向き合うプロセスです。
不安が出てくるのは当然です。
罪悪感を感じることもあるでしょう。
でも、それは「新しいやり方に向かっている証拠」
当カウンセリングルームでは、あなたの過去を否定することなく、安心・安全な場で境界線を築いていくサポートをしています。
- 他人の感情に巻き込まれてしまう
- 自分の意見を言うのが怖い
- 断ると罪悪感を感じてしまう
そんな方に向けて、あなたに合ったステップで、「あなたらしい境界線の持ち方」を一緒に見つけていきます。
あなたも、誰かの期待や感情の中から抜け出して、「本当の自分」を取り戻してみませんか?
気になる方は、ぜひ一度カウンセリングへいらしてくださいね。
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気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
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