トリガーとは?トラウマによる心の反応と対処法をやさしく解説

この記事の内容

トリガーとは?


「どうしてこんなに不安になるんだろう」
「涙が止まらないのは私が弱いから?」
──そんなふうに思ったことはありませんか?

その反応は、もしかしたら
“トリガー” によるものかもしれません。

トリガーとは、もともと「引き金」
という意味
の言葉です。



心理学では、過去のつらい体験や
心の傷を思い出させる“きっかけ”
を指します。



たとえば、大きな声で体が固まる、
ある匂いで不安がよみがえる、
何気ない言葉で涙が出る──
これらはすべてトリガーによる反応の一例です。

ここで大切なのは、トリガーは
「心が弱いから」起こるのではないということ。



むしろ、心や体が「また危険があるかもしれない」
と守ろうとして働いている自然な反応です。

SNSでは「ちょっと嫌なこと」を指して
「トリガー」と言うこともありますが、
本来は「過去の痛みを呼び覚ますもの」



トリガーを正しく理解することは、
自分を責めずに、
安心して向き合うための第一歩になります。

トリガーのイメージを、木製のピストルの画像で表現



なぜトリガーが起こるのか


「わかっているのに、
どうしてこんなに強く反応してしまうんだろう?」
──そう感じるとき、
そこには脳と心の仕組みが関わっています。

私たちの脳には、危険をいち早く察知する
センサーのような役割を持つ部分があります。



そのひとつが扁桃体と呼ばれる場所です。
扁桃体は、危険や不安をキャッチすると
即座に「身を守れ!」と体に信号を送ります。



心臓がドキドキしたり、
呼吸が浅くなったりするのは、
この防御システムが働いている証拠です。

本来なら役立つ仕組みですが、
過去に大きなストレスや
トラウマを経験していると、
「危険ではない場面」にも
反応してしまうことがあります。



たとえば、昔怒鳴られた経験がある人は、
似た声を聞いただけで体が固まってしまう。
これは脳が「また同じことが起こるかもしれない」と
過剰に警戒しているのです。

この反応は
意志の力で止められるものではありません。


「落ち着こう」と思っても
体が勝手に反応してしまうのは、
脳が本能的に安全を守ろうとしているからです。

つまり、トリガーによる反応は
「弱さ」ではなく、
「心と体が一生懸命に守ろうとしているサイン」



この仕組みを知ることで、
「自分はおかしいのでは?」という
自己否定を減らし、
安心して向き合えるようになります。



トリガーがもたらす体と心の反応


「どうして、あの一言で
胸がざわついたんだろう?」

「もう過去のことなのに、
体が勝手に反応してしまう…」

そんな経験に戸惑う方は少なくありません。
ここでは、トリガーがどのように起こるのかを、
できるだけやさしくお伝えしていきます。


脳の「危険センサー」の働き

人の脳には、危険を察知して
命を守るシステムがあります。


その中でも「扁桃体(へんとうたい)」という
部分は、まるで警報装置のように、
危険を感じたらすぐに体へ信号を送ります。

本来なら「車が急に飛び出してきたとき」など、
本当に危険な場面で役立つ働きですが、
トラウマ体験があるとこの警報装置が
とても敏感になります。

その結果、実際には安全な状況でも
「危険かもしれない」と誤作動してしまい、
心や体を緊張させてしまうのです。


体の反応は自分の意思では止められない

トリガーが押されると、
自律神経が自動的に反応します。

・心臓がドキドキする
・呼吸が速くなる
・体が固まる
・頭が真っ白になる

こうした反応は「弱いから」でも
「気が小さいから」でもなく、
体があなたを守ろうとしている
自然なサインです。


自分の意思でコントロールできないのが
特徴です。


例:音や言葉で体が反応する

たとえば、過去に怒鳴られる経験を
繰り返してきた人は、大人になってからも
「大きな声」や「ドアがバタンと閉まる音」に
敏感に反応することがあります。

頭では「今は安全」と理解していても、
体は過去の記憶と結びつけて
「また危険が起こるかもしれない」
誤解してしまうのです。


知ることが安心につながる

「トリガーは自分が弱いから起こるのではない」
「体が私を守ろうとして反応しているんだ」

この仕組みを知るだけで、
自分を責める気持ちが
少し和らぐことがあります。

理解することは、安心への第一歩になるのです。

トリガーは脳が危険を感じているからというイメージを、GANGERと書かれた画像で表現



トリガーと感情の関係


トリガーが起こるとき、
私たちの中では「感情」が
大きく揺さぶられます。


「突然涙が出てしまう」
「イライラして相手にきつく当たってしまう」
「強い不安にのみ込まれる」

こうした感情の反応には、
過去の体験と深い関わりがあります。


過去の感情が「未完了」のまま残っている

トラウマ体験の多くは、
当時あまりに衝撃が大きすぎて、
その場で感情を十分に消化できません。


本当は泣きたかったのに泣けなかったり、
怖いと言いたかったのに言えなかったり…。

そうした「未完了の感情」が心の奥に残り続け、
似たような場面に出会ったときに
一気にあふれ出してしまうのです。


感情は「弱さ」ではなく「サイン」

トリガーによって現れる感情は、
あなたが弱いから出てくるものではありません。
それは「心がまだ癒やされていない
部分がありますよ」というサイン
でも
あるのです。

たとえば、悲しみがこみ上げるのは
「本当はそのとき安心したかった」という
願いの表れかもしれません。



怒りが出るのは
「本当は理不尽に耐える必要なんてなかった」
という大切な気づきかもしれません。


感情と安全をつなげることが大切

感情はとてもパワフルなので、
飲み込まれると苦しくなります。
でも、「これは過去の感情が
よみがえっているんだ」と理解できると、
少し落ち着いて向き合えるようになります。

安心できる環境で感情を
感じ直すことができると、
その感情は少しずつ解放されていきます。
これは回復の大切なプロセスのひとつです。


例:人の表情で不安になる場合

過去に「不機嫌な顔を見て責められた経験」
が多い人は、大人になっても
他人のちょっとした表情に
敏感に反応することがあります。


そのときに湧いてくる不安や緊張は、
今の相手があなたを責めているのではなく、
「過去の恐怖」が再生されているだけなのです。



自分でもできるトリガーへの対処法


トリガーによって感情や体が反応すると、
つい「どうにか抑えなきゃ」と思いがちですが、
無理に抑えようとすると
かえって苦しくなります。


ここでは、自分でできる、
心と体をやさしくケアする方法を紹介します。


1. 「これはトリガーかも」と気づく

まず大切なのは、
自分の反応に意識を向けることです。


「今の不安は過去の出来事に
引きずられているんだ」と意識するだけで、
自己否定の気持ちが和らぎます。


2. 呼吸を整える

簡単な深呼吸やカウント呼吸を行うと、
体の緊張を少しずつほぐせます。


息を吸うときに4秒、吐くときに6秒、と
ゆっくり呼吸するだけで、
自律神経が落ち着きやすくなります。


3. 安心できるものを取り入れる

温かい飲み物やお気に入りの香り、
ハンドクリームなど、
五感で安心感を感じられるものを
そばに置くと効果的です。


「今ここに安全なものがある」
体に教えることができます。


4. 距離を取る勇気

強い反応が出そうなときは、
その場から少し離れるのも立派な対処法です。


逃げることではなく、
「自分を守るための選択」だと考えましょう。


5. 言葉にして整理する

日記に書いたり、信頼できる人に話したりして、
気持ちを言葉にすることも助けになります。
頭の中だけで抱え込むより、
心が少し軽くなる効果があります。



トリガーへの対応は、
完璧を目指す必要はありません


小さな工夫を少しずつ取り入れるだけでも、
心と体の負担はずっと減らせます。


「少しずつできることを増やしていく」ことが、
回復への第一歩です。

トリガーについて「言葉にして整理する」イメージを、窓際に置かれたノートとコーヒーカップの画像で表現



トリガーに関するよくある誤解


トリガーについて知ると、
「自分がおかしいのでは…」と
不安になることがあります。


ここでは、よくある誤解を整理して、
安心できる視点をお伝えします。


誤解1:トリガーが出るのは心が弱いから

前章でも触れましたが、
トリガーは「心の弱さ」ではありません。


脳や体が過去の危険を記憶し、
今も守ろうとしている自然な反応です。


誰にでも起こり得ることで、
恥ずかしいことではありません。


誤解2:トリガーを感じると一生直らない

トリガーは学習された反応なので、
対処法を知ったり安心できる環境で
繰り返し体験を整理したりすることで、
少しずつ穏やかにできます。


無理に消そうとする必要はありません。


誤解3:トリガーを避けるのは甘え

反応が強く出そうな場面から距離を取ることは、
心を守るための賢い選択です。


無理に自分を追い込むより、
自分をいたわることが回復につながります。



トリガーは人としての自然な反応


トリガーは、過去の心の傷や体験が、
今の私たちに反応として現れる
「自然なサイン」です。



決して心の弱さや欠点ではありません。
トリガーの仕組みや感情の関係、
そして簡単な対処法を知ることで、
「なぜ自分がこんなに反応してしまうのか」が
少しずつ理解でき、
自己否定が減ることがあります。

もし日常でトリガーに悩むことが続くなら、
ひとりで抱え込む必要はありません。


専門家のカウンセリングを受けることで、
安全な環境の中で感情を整理し、
過去の体験と向き合うことができます。

あなたの心の反応には理由があり、
癒すことはできます。


まずは「自分を責めないこと」と
「安心できる場で少しずつ理解すること」から
始めてみてください。


トリガーに向き合うことは、
心の安心を取り戻す第一歩です。



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