トラウマによる身体症状に効く!2つのアプローチで安心感を取り戻す方法

この記事の内容

心と身体のつながり ― なぜ“身体”に注目するのか


心の傷やストレスと聞くと、
「心」の問題と考える人が多いかもしれません。



でも実は、トラウマの影響は
心だけでなく身体にも深く刻まれています。

たとえば、過去のつらい体験を思い出したとき、
胸がギュッと締めつけられたり、
呼吸が浅くなったり、
全身が固まってしまうような感覚に
なったことはありませんか?



これは「気のせい」ではなく、
神経系や筋肉がその体験を“記憶”している
からです。

実際、トラウマと身体症状の関係は
多くの研究でも明らかになっています。



米国のCDC(疾病予防管理センター)の
「ACE(逆境的小児期体験)研究」では、
幼少期にトラウマを経験した人ほど、
慢性的な身体症状や病気を抱えるリスクが高い
ことが報告されています。



たとえば、ACEスコアが高い人は、
慢性痛、消化器系の不調、心疾患、
自己免疫疾患の発症率が高くなる傾向があるのです。

日本でも、「原因がはっきりしない身体の不調」
に悩む人の中には、実は過去の心的外傷が
関係しているケースが少なくありません。



特にトラウマサバイバーの方は、

  • 慢性的な肩こりや頭痛
  • 胸の圧迫感や息苦しさ
  • 胃痛や消化不良
  • だるさや極端な疲労感

    といった不調を
    長期間抱えていることがあります。

たとえば、ある女性は
「人前に立つと胸が苦しくなる」
「夜になると動悸がして眠れない」
という悩みを抱えていました。



医療機関では「異常なし」と
言われ続けましたが、
トラウマを抱えたまま長年、
身体が過緊張状態になっていたことが
原因でした。



この方は身体を通して
感覚を少しずつほどいていくことで、
胸の圧迫感がやわらぎ、
人と関わるときも息苦しさが減っていきました。

こうしたケースは珍しいことではありません。
心と身体は切り離せるものではなく、
身体の状態が安心を感じられるようになると、
心も自然とやわらいでいく
のです。



そのため、トラウマケアの分野では今、
従来の「言葉だけのカウンセリング」ではなく、
身体感覚にアプローチする方法
注目を集めています。

特に、バイオエナジェティックスや
ソマティック療法は、
身体を介して心の緊張をゆるめ、
安心感を取り戻していくアプローチです。



「心の問題に身体で向き合う」という考え方は、
一見不思議に思えるかもしれません。



けれど、身体はあなたの心の
“いちばん身近な記憶装置”でもあるのです。

トラウマの記憶装置のイメージを、氷の中の枯れ葉の画像で表現



バイオエナジェティックスとは? ― 感情と身体をつなぐアプローチ


「バイオエナジェティックス」
という言葉を初めて聞くと、
ちょっと難しそうに感じるかもしれません。



でも、実はとてもシンプルな
考え方に基づいています。


それは──
「心と身体はひとつであり、感情は身体の中にもあらわれる」というものです。

バイオエナジェティックスの基本的な考え方

バイオエナジェティックスは、
アレクサンダー・ローエンという
精神科医によって広められた
心理療法の一種です。



もともとは、師であるヴィルヘルム・ライヒの
「身体と感情の関係」という考え方を
発展させたもので、
「感情を言葉ではなく身体を通して解放していく」ことを大切にしています。

多くのトラウマサバイバーの方は、
つらい体験をしたときにその感情を表現できず、
心と身体の両方に
「抑え込む」形で耐えてきました。



このとき身体は、
まるで硬い鎧(よろい)のように
筋肉を緊張させ、痛みや恐怖から
自分を守ろうとします。



バイオエナジェティックスでは、
この「身体の鎧(アーマー)」に
やさしくアプローチし、
本来の呼吸・感情・生命力を取り戻していくことを目指します。

特徴的なのは「身体の動き」

バイオエナジェティックスでは、
ただ話を聞くだけではなく、

  • 足をしっかり地面につけて立つ
  • 深く呼吸をする
  • 胸を開いたり、声を出したりする
  • 感情が出てきたとき、
    それを止めずに安全な場で表現する


    といったシンプルな身体のワークを
    取り入れます。

特に「グラウンディング」と呼ばれる
足の感覚を感じるワークはとても重要です。



過去のトラウマを抱えていると、
身体感覚が鈍くなったり、
地に足がついていないような
感覚になる人も多くいます。



グラウンディングは、
「今、ここにいる」安全感を身体から感じられるようにするための大切な一歩です。

体の反応が感情をやさしくほどいていく

トラウマのある人にとって、
「感情を感じる」というのは
とてもこわいことです。



だからこそ、バイオエナジェティックスでは
無理に話を掘り下げるのではなく、
身体から少しずつ安全にゆるめていくことを
大切にします。

たとえば、胸やお腹の筋肉が少しゆるむと、
自然に涙が出てきたり、怒りや悲しみが
こみあげてくることがあります。



これは悪いことではなく、
長い間閉じ込めてきた感情が、
やっと外に出る準備ができた
サインです。

あるクライアント様は、
「何十年も我慢してきた怒りが、
胸の奥からふわっとあふれてきて、
ようやく自分を取り戻せた」と
話してくれました。



感情が解放されると、呼吸が深くなり、
心も軽くなる方が多いのが特徴です。

言葉だけでは届かない部分をケアする

心の問題を「言葉」で整理する
カウンセリングはとても大切です。


でも、トラウマによる身体のこわばりや反応は、
言葉だけではなかなか変わりません。



バイオエナジェティックスは、
理屈ではなく“身体そのもの”に働きかける
ことで、深い安心感と回復力を引き出していく
アプローチなのです。

回復力のイメージを、二匹並んで寝ている動物の画像で表現



ソマティック療法との違い ― どちらも“身体”を通して癒すアプローチ


バイオエナジェティックスとソマティック療法は、
どちらも「心と身体はひとつ」という考え方に
基づいています。



そのため、パッと聞くと
「同じようなもの」に感じるかもしれません。



でも実は、それぞれに少しずつ
得意なアプローチや方向性の違いがあります。



この章では、
その違いをやさしく説明していきますね。


ソマティック療法とは?

「ソマティック(Somatic)」とは「身体的な」
という意味の言葉です。



ソマティック療法は、
身体の感覚に注意を向けることで、
心の安全感や自己調整力を取り戻す
ことを
目的としたアプローチです。

代表的なものに、
ピーター・リヴァインによって開発された
「ソマティック・エクスペリエンシング(SE)」があります。



SEでは、「過去のトラウマを無理に思い出す」
のではなく、

  • 今この瞬間の身体感覚
  • 呼吸
  • わずかな変化


    に丁寧に意識を向けていくことで、
    身体の中に溜まった「未完了の反応」を
    安全に解放
    していきます。

トラウマは、強い恐怖やショックを受けたとき、
身体が“逃げる・戦う・凍りつく”という
反応をしたまま完了できずに、
神経系の中に残ってしまうことがあります。



ソマティック療法では、
この「止まってしまった身体の反応」を、
今ここで少しずつ完了させていく
のです。


バイオエナジェティックスとの違い

バイオエナジェティックスが感情の表現や
筋肉の緊張に働きかける“動きのある”
アプローチであるのに対し、
ソマティック療法はより静かで、
繊細な身体感覚に耳をすませる
スタイルです。

      項 目  バイオエナジェティックス   ソマティック療法
アプローチの特徴感情の表現、身体の緊張をゆるめる身体感覚の観察と安全感の回復
セッションのスタイル動き・呼吸・声などを使う静かに感覚を感じる
目 的感情の解放とエネルギーの回復神経系の安定と安心感の回復
感情の扱い方感情を表現することを重視無理に出さず、自然な流れを大切にする
向いている人感情を表に出しやすい人、体感が強い人感情を言葉にするのが苦手な人、過敏な人



たとえば、バイオエナジェティックスでは、
深く息を吸い、声を出したり、
身体を動かしたりして、
抑え込んできた感情を解放していきます。



一方ソマティック療法では、
「今、胸のあたりに温かさを感じる」
「肩の力が少し抜けてきた」など、
小さな身体感覚の変化を静かに感じとる
ことを大切にします。



トラウマサバイバーにとっての違い

トラウマを抱えていると、
感情を表に出すこと自体が
怖く感じる人もいれば、
逆に抑えきれない感情が
突然あふれてしまう人もいます。


このとき、

  • 「感情を外に出してすっきりしたい」人には →
    バイオエナジェティックスが合いやすく、

  • 「まずは身体を安全に感じたい」人には →
    ソマティック療法がやさしく寄り添いやすい傾向があります。

ただし、
どちらが優れているということではなく、
そのときの自分の状態によって合うアプローチが変わるのが自然です。



たとえば、最初はソマティック療法で
安心感を育て、
その後、バイオエナジェティックスで
感情を解放するというように、
組み合わせて使われるケースも多くあります。


どちらも「あなたの身体」を信じるセラピー

バイオエナジェティックスもソマティック療法も、
どちらも目指しているのは同じ──
「身体の力を信じて、本来の自分に戻る」
ことです。

身体は、
過去のつらい体験を覚えていると同時に、
癒える力もちゃんと持っています。



身体にやさしく意識を向けることで、
閉じ込められていた感情や反応が、
少しずつ動きはじめるのです。




トラウマによる身体症状と、2つのアプローチがもたらす変化


トラウマの影響は、心の奥深くにとどまらず、
身体のさまざまな場所にあらわれる
ことがあります。



特に長いあいだトラウマを抱えてきた人ほど、
「病院で検査しても異常がない」と
言われながらも、ずっと不調が続いている
ケースが少なくありません。

たとえば、次のような症状に
心当たりはないでしょうか。

  • 慢性的な肩こりや首の痛み
  • 息苦しさ、胸の圧迫感
  • 胃の不調、消化不良
  • めまいや頭痛
  • 体がずっと緊張している感じ
  • 眠っても疲れが取れない



こうした症状の背景には、
「身体がずっと危険を感じ続けている」状態
があります。



これは、神経系が過去の危険な体験を“記憶”し、
いまもその防衛反応を続けているためです。



たとえ頭では「もう安全」とわかっていても、
身体は安心しきれず、
過緊張が続いてしまうのです。



バイオエナジェティックスがもたらす変化

バイオエナジェティックスは、
身体の緊張をやさしく解きほぐし、
抑え込んできた感情を安全な形で外に出す

ことをサポートします。

長いあいだ「がまん」や「抑え込み」を
続けてきた身体は、呼吸が浅くなったり、
筋肉が硬くなったりしています。



バイオエナジェティックスでは、

  • 深い呼吸
  • 声を出す
  • 胸や背中を開くような動き
  • 足で大地をしっかり感じるグラウンディング


    といったシンプルなワークを通して、
    身体が少しずつ「安全」を
    思い出していくのです。

ある女性は、胸のあたりをやさしく開くワークを
続けていくうちに、ずっと我慢してきた
怒りや悲しみが自然にあふれ、
「胸の圧迫感が軽くなった」と話していました。



感情を表現することは
こわいと感じるかもしれませんが、
身体をとおしてなら、言葉にならない気持ちも
少しずつ外に出していくことができます



ソマティック療法がもたらす変化

一方、ソマティック療法は、より静かに、
繊細に身体の感覚へ意識を向けることで、
神経系の過敏さを落ち着かせ、安心感を育てる
ことを目指します。

過去のトラウマによって、
身体が「戦う・逃げる・固まる」という
反応のまま
止まってしまっていることがあります。



このとき、無理に感情を出そうとするのではなく、

  • いま身体のどこに力が入っているか
  • どんな感覚があるか
    (温かい・冷たい・ピリピリする…など)
  • その感覚がどう変化していくか


    を丁寧に観察していきます。

たとえば、「胸の奥の緊張が少しずつ溶けて、
呼吸が自然に深くなった」
「手のしびれが温かさに変わった」
というような、小さな変化を感じ取ることが、
大きな回復への第一歩になります。

身体が「もう危険ではない」と感じはじめると、
過剰な緊張状態がゆるみ、
自然な自己回復力が働きやすくなります。



実際にソマティック療法のセッションを
続けた人の中には、
頭痛や胃痛などの症状がやわらいだり、
眠りが深くなったという声もあります。



「感じること」そのものが、回復の始まり

バイオエナジェティックスもソマティック療法も、
身体を「治そう」と力を入れるものでは
ありません。



むしろ、
身体の声に耳をすませ、感じることを許す
ことで、身体自身の回復力が
自然に働きはじめます。

トラウマによって長いあいだ
“固まっていた”身体は、
時間をかけて少しずつ、
柔らかさと自由さを取り戻していきます。



心と身体のあいだに橋がかかると、
これまでひとりで耐えてきた感情や反応も、
「ひとりぼっちではない」と
感じられるようになるのです。



自分に合ったアプローチを見つけるために


ここまで、バイオエナジェティックスと
ソマティック療法の違いについて
お伝えしてきました。



どちらも「心と体を切り離さない」という
大切な考え方をベースにしていますが、
アプローチの仕方やプロセスには
違いがあります。

大切なのは、「どちらが正しいか」ではなく、
「あなたの今の状態に合っているか」
という視点です。

体へのアプローチは、人によって合う・合わないがある

トラウマサバイバーの方の中には、
「体に意識を向けるのが怖い」
「感情が溢れ出すのが不安」
と感じる方も少なくありません。

バイオエナジェティックスのように
体を大きく動かしたり、
感情をしっかり解放するスタイルが
合う人もいれば、
まずはソマティック療法のように
小さな感覚にやさしく気づく
アプローチのほうが安心できる、
という人もいます。

あなたが「これならできそう」と
思える方法を選ぶことが、何よりも大切です。

セラピストとの相性も大切なポイント

どんな手法であっても、
セラピストとの信頼関係が土台になります。


「安心できる」「話を急かされない」
「ペースを尊重してくれる」と感じられる
相手と出会うことが、
癒しのプロセスを大きく支えてくれます。

もし最初のセラピストが合わなかったとしても、
それはあなたの感覚が間違っているわけでは
ありません。


安心できる環境を探すことも、
回復の大切な一歩です。

「小さく始める」からで大丈夫

トラウマケアは、何かを「がんばる」
ことではなく、
「安心を取り戻していくプロセス」です。



体への気づきを少しずつ増やしていくことが、
やがて大きな変化につながっていきます。

たとえば、
・深呼吸をして自分の胸の動きを感じる
・足の裏が床に触れている感覚に気づく
・セラピーで「怖い」と伝える勇気を持つ


——そんな小さな一歩から始めても、
十分価値があります。

あなたのペースでいい

他の誰かと比べる必要はありません。
あなた自身が「少し安心できた」
「ちょっと体を感じられた」と思えることが、
何よりの進歩です。

無理にどちらかの方法を選ぶ必要もありません。
気になったものを少しずつ試しながら、
「これが合いそう」と思えるアプローチを
見つけていけばいいのです。

自分のペースでいいというイメージを、木の手すりに置かれたコーヒーカップの画像で表現



もし一人で始めるのが不安なときは…

無理に自分だけで進めようとせず、
専門家のサポートを受けることもできます。


カウンセリングでは、あなたのペースに合わせて
身体や感情の状態を丁寧に観察し、
安全に癒していく方法を一緒に考えてくれます。

「怖さや不安を我慢せず、
まずは小さな安心感を取り戻す」
そんなところから
一歩ずつ進めることもできます。


自分に合った方法を見つけながら、
心と身体の両方を
やさしくケアしていきましょう。




もし長い記事が疲れるなと感じたら、
エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、
ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が
見つかるかもしれません。
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