視点を変えると人生が変わる~禅修行で気づいた“欠点を長所に変える”方法
禅修行での体験から見えた「視点の力」
先週、一週間お休みをいただき、
禅修行に参加してきました。
静かな時間の中で、自分の内側を見つめる
貴重な体験でした。
今回の記事では、その中で出会った
ある若い男性とのやり取りをきっかけに、
「視点を変えること」の大切さについて
お話ししたいと思います。
トラウマを抱えていると、どうしても物事を
“ひとつの見方”で捉えがちになります。
でも、少しだけ角度を変えてみることで、
心が驚くほど軽くなることがあります。
若い参加者たちとの交流で感じた「新鮮さ」と「発見」
禅修行には若い参加者が多く、
私は女性では最年長でした。
カウンセラーであることは特に伝えず、
ひとりの参加者として関わっていました。
せっかくなので、談話室では積極的に
いろんな人と話すようにしていました。
日常では、自分の子どもくらいの世代と
話す機会はあまりないので、とても新鮮でした。
そんな中で出会った一人の若い男性との会話が、
今回の気づきのきっかけになりました。
一言の「リフレーミング」で、人の表情が変わった瞬間
その男性がふと
「僕って〇〇なところがあるんですよね」と
言ったとき、
私は反射的に
「それって△△とも言えますよね」と返しました。
すると、その瞬間、彼の表情が
ぱっと明るく変わったのがわかりました。
「そんなふうに考えたことなかったです」と
笑顔を見せてくれたのです。
彼にとって“〇〇”は自分の欠点でした。
でも、私の一言でその特徴が“長所”としても
見えると気づいたのです。
私はカウンセリングをしていたわけではなく、
ただ素直に感じたことを言っただけでした。
けれど、その何気ないやり取りが、彼にとって
新しい視点を生むきっかけになりました。
“欠点”は角度を変えれば“魅力”になる
私たちは誰しも、自分の中の「欠けた部分」に
ばかり目を向けてしまいがちです。
特にトラウマを抱えた人は、
過去に否定された経験が多く、
「どうせ私なんて」「また失敗する」といった
思考のループに入りやすくなります。
しかし、どんな出来事や性格にも、
ひとつの解釈だけしかないということは
ありません。
見方を変えれば、“欠点”が“魅力”に、
“弱み”が“優しさ”に変わることがあります。
心理学の研究でも、
人間の脳はネガティブな情報を
ポジティブな情報より
約3倍強く記憶することがわかっています。
だからこそ、意識的に「違う角度」から
自分を見てあげることが大切なのです。

視点の偏りは、過去の“安全の欠如”から生まれる
視点が偏ってしまう背景には、
「安全の欠如」があります。
親や先生、上司など、身近な大人が
安心を与えず、否定や支配で接してきた場合、
私たちの脳は「安全ではない世界で生きる」こと
を前提に働き始めます。
ポリヴェーガル理論では、安心できない環境では
神経が常に防衛モードになり、
新しい情報を受け入れたり、
柔軟に考えたりすることが難しくなると
されています。
つまり、“視点を変えられない”のは、
性格の問題ではなく、
「神経がずっと危険信号を出している」
状態なのです。
安心できる関係性が、新しい視点を生む
人は「この場にいていい」「受け入れられている」
と感じられてはじめて、
安心して話したり、人と関われたりします。
安心がなければ、
新しい視点を受け入れることはできません。
だからこそ、トラウマサバイバーにとって
最初のステップは、
“安心できる関係性”を少しずつ築いていくこと
なのです。
それは、信頼できる友人との会話
かもしれませんし、
専門家とのカウンセリングの時間
かもしれません。
安心の中で交わされる言葉には、心をやわらげ、
新しい見方を取り戻す力があります。
自分と違う視点を持つ人と話すことで、思考が変わる
いつも同じ思考がぐるぐる回って
抜け出せない時、
「自分と違う角度の話をしてくれる人」と
話すことが助けになります。
私自身、今でも時々、先輩カウンセラーの
セッションを受けています。
それは、より高い視点を持つ人と話すことで、
自分の思考の偏りに気づき、
自己一致(=心と行動がずれていない状態)
を保つためです。
自分一人では見えなかった“別の角度”を
教えてもらうことで、
心の中の硬い部分が少しずつほどけていきます。
少しの勇気が、新しい流れを生む
家の中で安心できなかった人ほど、
「人や社会は怖いもの」と感じてしまうことが
あります。
それでも、小さな一歩でいいのです。
たとえば、
・新しい人と少しだけ話してみる
・安心できるコミュニティに参加してみる
・いつもと違う道を歩いてみる
ほんの小さな変化が、人生の流れを
少しずつ変えていきます。
視点を変えることは、努力よりも
“柔らかさ”を育てること。
その柔らかさが、あなたの心に新しい風を
運んでくれます。

視点を変えることが“自己否定”を“自己受容”へ変える
禅修行での出会いを通して改めて感じたのは、
「視点が変われば、世界が変わる」ということ。
自分の欠点だと思っていた部分も、
見方を変えれば大切な個性になります。
リフレーミングとは、特別な技法ではなく、
安心できる関係の中で自然に起こる
“心の変化”なのです。
今年も残りわずか。
少し勇気を出して、
今までとは違う視点で自分や世界を
見つめてみませんか?
きっと、新しい自分に出会えるはずです。
カウンセリングのご案内
「視点を変えたいけど、自分では難しい」
と感じる方へ。
安心できる対話の中で、あなたの中にある
新しい可能性を見つけていきましょう。
もし長い記事が疲れるなと感じたら、
エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、
ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が
見つかるかもしれません。
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