「いい子ね」が生きづらさの暗示になる?親の言葉が子どもに与える影響とは
子どもは、親の言葉を深く、そして無意識に受け取っています。
そしてその言葉は、時に「生きづらさ」の種になります。
例えば、ある日母親が「お母さんの言うことを聞いて、いい子ね」と言ったとします。
親としては子どもを褒めたつもりで、優しさのつもりだったかもしれません。
でも、子どもはその言葉を違うふうに受け取ってしまうことがあるのです。
「いい子でいなきゃ、愛されない」
その言葉は、条件付きの愛のメッセージ
子どもの内側で起こっている受け取り方はこうです。
- 「お母さんの言うことを聞くのが “いい子” なんだ」
- 「じゃあ、言うことを聞かなかったら “悪い子”?」
- 「悪い子だったら、お母さんに愛されないのかもしれない」
こうして、「親の期待に応えなければ愛されない」という条件付きの思い込みが、子どもの心にインストールされてしまうのです。
この思い込みは、意識的には気づきにくいものです。
でも、子どもは無意識のうちに「親の言うことを聞く=愛される」と感じ、やがて「本当の気持ちを押し殺してでも、期待に応えよう」とするようになります。

自分の気持ちがわからない大人たち
こうして育った子どもは、大人になる頃には、こんな悩みを抱えることがあります。
- 自分のやりたいことがわからない
- 他人の顔色ばかり気にしてしまう
- 決断が苦手で、人に決めてほしい
- 「私は本当にこれが好きなのかな?」と自分の感情に自信が持てない
「親の言うことを聞く=いい子」だった小さな頃の暗示が、大人になっても続いているのです。
親に悪気はなかったとしても
ここで大事なのは、親に悪意があったわけではない、ということです。
親だって一生懸命だったし、「子どもを愛してる」「ちゃんと育てたい」と思っていた。
でも、子どもにとって「どう受け取ったか」がすべてなのです。
愛のつもりの言葉が、いつのまにか「条件付きの愛情」として伝わってしまうこと。
これは多くの親子関係で見られる、無自覚なすれ違いです。
「急いで!」「ぐずぐずしないの!」も暗示になる?
たとえば朝の支度中、バタバタしているときに「ぐずぐずしないの!」「早くしなさい!」と親が言う場面もあるでしょう。
大人にとっては時間を守るための声かけでも、子どもはこう受け取るかもしれません。
- 「急がないと、お母さんに嫌われる」
- 「私は“のんびり”してちゃダメなんだ」
- 「急がなきゃ、愛されないんだ」
こうした繰り返しが、やがて子どもの内側に「急がないと愛されない」という信念をつくってしまうことがあります。
そして、大人になっても「何かに追われているような感覚」「立ち止まると罪悪感がある」といった“無意識の焦り”として残ってしまうのです。

条件付きの愛情が子どもに与える影響
「〇〇だからいい子」
「〇〇できるから偉い」
「〇〇じゃないとダメ」
これらはすべて、「条件付きの愛情」です。
子どもにとっての安心感は、「何ができてもできなくても、あなたは大切な存在だよ」という“無条件の愛”にこそ育まれます。
条件をクリアしないと愛されないと感じた子どもは、自分の本音や感情を抑えて、“良い子の仮面”をかぶって生きるようになります。
子どもに必要なのは「存在そのもの」への肯定
大人の言葉は、時に子どもの“人生の方向性”を左右するほど強い影響を与えます。
だからこそ、親や大人たちに知っていてほしいことがあります。
それは、「あなたがそこにいるだけで、大切な存在だよ」というメッセージこそが、子どもにとって最大の安心感になるということです。
これは「甘やかし」とはまったく違います。
むしろ、土台にその安心感があるからこそ、子どもは自分の力を信じ、主体的に人生を選び取ることができるようになります。

無意識の暗示から自由になるために
私たちが感じている「生きづらさ」の多くは、こうした子ども時代の言葉や体験が元になっています。
「いい子でいなければ」
「誰かの期待に応えなければ」
「自分の本音なんて後回し」
そうした“条件付きの自己価値”の上に、生き方を築いている人がとても多いのです。
でも、それは本来のあなたの姿ではありません。
その暗示に気づき、手放していくことで、少しずつ「本当の自分」とつながることができます。
あなたは、ただ“いるだけ”で愛されていい
子どもの頃に無意識に受け取った「暗示」は、大人になっても私たちの内側で働き続けます。
でもそのことに気づけたなら、今からでも自分をゆっくり取り戻すことができます。
あなたは誰かの期待を満たすために生まれてきたのではなく、ただ“あなたである”ということが、すでに価値なのです。
この記事が、自分を縛っていた暗示を少しでも緩めるきっかけになればうれしいです。
あなたの心が、少しずつ自由になりますように。

あなたの「生きづらさ」に寄り添います
「いい子でいなきゃ」「誰かの期待に応えなきゃ」
そんな暗示が今も心のどこかに残っていて、本音を言えなかったり、がんばりすぎたりしていませんか?
私は、トラウマケア専門家として“生きづらさ”の背景にある深い心のしくみを丁寧にひもときながら、安心して「本当の自分」に戻っていくサポートをしています。
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