忘れたいのに忘れられないトラウマ記憶~脳で何が起きているのかをやさしく解説します

この記事の内容

忘れたい記憶ほど、なぜ脳に残り続けるのか


こんにちは、トラウマセラピストmiwakoです。



忘れたい嫌な記憶ほど、
いつまでも脳裏に焼き付いて離れない・・・
そんな方も多いのではないでしょうか?

人の記憶というのは、通常
脳の「海馬」という部位が担っていて、
日常の出来事などの記憶を
短期記憶として保持します。

その中で「重要」と捉えたものは、
短期記憶から長期記憶へと移行します。

そのため、学習効果を上げるには
コツコツ繰り返し復習すると、
長期記憶として定着しやすいと
言われています。



トラウマ記憶は「正規ルート」を通らない


一方でトラウマ記憶は、
忘れたいと思っても、
脳裏に焼き付いて
ずっと苦しめ続けられますよね。

では、脳の中で何が起こっているのでしょうか。

海馬を「玄関」に例えると、
トラウマ体験というのは、
玄関である海馬のインターホンを鳴らさずに
非常口から入ってきた
強盗のようなものです。

正規のルートで入ってきた来客ではなく、
裏口から無理やり侵入してきた強盗は、
命を脅かす存在です。

脳としては、この強盗の行為を
「忘れてはいけない!」と判断します。
命に関わるからです。

だから、どれほど意識の上では
忘れたいと願っても、
非常口をたたき割って入ってきた強盗を
脳は忘れてはくれないのです。



非常口から入ってきた記憶が、警報を鳴らし続ける理由


トラウマ体験というのは、
何も暴言や暴力だけではありません。

安心できるはずの家で、
突然親からかけられた心ない言葉や、
バカにするような態度、無視、
不機嫌な空気なども、
脳にとっては
非常口から入ってきた強盗なのです。

来客の準備ができている玄関と違い、
非常口は人を迎え入れる準備が
できていません。

そのため、力ずくで入ってきた強盗に対して
脳は「またいつ強盗が入ってくるかもしれない」と警戒を解くことができないのです。

だからトラウマ記憶は忘れることが難しく、
脳は警戒を解けないまま、
扁桃体の興奮は治まらず、
体は緊張し続けた状態になります。

この非常口で鳴り続ける
扁桃体のセンサーを止めるには、
楽しいことで上書きしていく必要がある
とも言われています。



トラウマは「一人で何とかしよう」とすると長引く


非常口で鳴り続けるセンサーは
生きづらさを生んでいますが、
決して悪者ではありません。

今日まで、あなたの命を守るために
必死で仕事をしてくれていたのです。

以前テレビを見ていたとき、
武田鉄矢さんが
海馬を「玄関」、扁桃体を「非常口」に例える
とてもわかりやすい説明をされていました。

今回は、私もその表現を
使わせていただきました。

何十年も鳴り続けたセンサーを
オフにしていくには、
やはり時間がかかります。

そして、安心できる環境
(場所・人)の中で
「協働調整」していくことが
必要になります。

なぜ一人では難しいのかというと、
人の神経は、もともと
単独で完結する前提では
作られていないからです。

安全は「人の反応」の中から
学習されるため、
人との関係性の中で
危険センサーも
少しずつ落ち着いていきます。

安心して話すことのできる場では、
何が起こっているのでしょうか。

・相手の声のトーン
・表情
・まなざし

こうした情報から、
脳が「安心」を感じ取り、
警報レベルが下がっていく
のです。


警報レベルが鳴りっぱなしで、
協働調整がうまく働かないと、

・一人で頑張り過ぎる
・助けを求められない
・感情が暴走する
・人といても孤独を感じる
・理屈ではわかっていてもリラックスできない

といったことが起こってきます。


トラウマ体験の多くは、

・誰も助けてくれなかった
・誰も守ってくれなかった
・誰も止めてくれなかった
・逃げる場所がなかった
・一人で耐えるしかなかった

という、
協働調整が断絶された状態で
起こっている
のです。


だからこそ、
安全な他者との「再体験」
必要になってきます。

安全な他者との再体験のイメージを、青空の下に咲く紫の花の画像で表現



安心できる関係の中で、神経は少しずつ変わっていく


私もさまざまな媒体で
情報発信をしていますが、
ときどきDMなどで
「やり方を教えてください」
と言われることがあります。

たとえノウハウを手にしたとしても、
一人でうまくいくとは限りません。
というより、非常に難しいです。

思考と違って、
神経の反応は
意識しても変えられない
からです。

神経の反応は「反射」なので、
ノウハウを知って
一人で取り組んでも、
効果は出にくいのです。

神経系の変化は、
意識を超えたところで、
少しずつ、小さく
変わっていきます。

もしあなたが、
「もう過去のことなのに、ずっと忘れられない」
「頭では分かっているのに、安心できない」
そんな状態に苦しんでいるなら、
それはあなたが弱いからではありません。

神経は、これまで必死に
あなたを守ってきただけなのです。

一人では難しかったことも、
安心できる関係の中では
少しずつ変わっていくことがあります。

トラウマ記憶や生きづらさについて、
安全な場で一緒に整理していきたい方は、
ぜひご相談ください。


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