悩み事で頭がいっぱいのあなたへ~悩みの影響力を小さくする方法
なぜ悩み事で頭がいっぱいになるのか
誰にでも、悩みの一つや二つはあると思います。
人間関係のこと、将来のこと、過去の出来事。
頭では「考えても仕方ない」と
わかっているのに、気づくとまた同じことを
思い出して、ぐるぐる考えてしまう。
そんな自分を「心が弱い」と
責めたくなるかもしれません。
でも実は、悩み事で頭がいっぱいになるのは、
あなたの性格のせいでも、
心が弱いからでもなく、
脳の仕組みによるものなのです。
脳が「悩みを繰り返す理由」
私たちの脳には、
「繰り返されること=大切なこと」と認識する
性質があります。
たとえば、毎日同じ悩みを考えていると、
脳はその回路をどんどん強くしていきます。
そして、何かの拍子にその回路が
勝手に動き出し、
「今は関係ないのに、また悩んでしまう」という状態に。
パソコンでよく使うファイルをデスクトップに
ショートカットとして置くようなものです。
脳は「あなたがよく使うから、アクセスしやすくしておこう」と“親切”に設定して
くれるのですが、それが結果的に
「悩みのショートカット」を作って
しまうのです。

「考えないようにする」がうまくいかないワケ
「もう悩むのはやめよう」と決めても、
気づいたらまた同じことを考えている。
そんな時、「私って本当にダメだな」と
自分を責めてしまう人が多いのですが、
意志の力だけで思考を止めるのは
とても難しいことです。
それは、あなたの中の
「生きるためのシステム」が
ちゃんと働いているから。
脳は“命を守るために大事なこと”を
繰り返し思い出そうとします。
つまり、悩みを繰り返すのは、
あなたの心の弱さなどではなく、
生き延びようとする脳のクセなんです。
思考を切り替える“マインドフル”な方法
では、どうすれば悩みの回路から
抜け出せるのでしょうか。
それが、「マインドフル」な時間を持つことです。
マインドフルとは、
「今この瞬間に意識を向けること」
難しく聞こえるかもしれませんが、
瞑想のように特別なことをする必要は
ありません。
たとえば私にとってのマインドフルは
「料理」です。
包丁の音や、食材の香り、鍋の湯気。
それらに意識を向けていると、
自然と頭の中が静かになります。
一皿作り終える頃には、
あれほどぐるぐるしていた思考が
すっと落ち着いていて、
心にも少し余白ができているのを感じます。
大切なのは、「今ここ」に戻ること。
過去や未来に心が引っ張られている時、
その“いま”の感覚が
あなたを現実に戻してくれます。
思考ではなく「体」を使って回路を変える
悩み事で頭がいっぱいのときは、
「考えないようにする」よりも
「体を動かす」ことを意識してみましょう。
・部屋の片づけを丁寧にする
・散歩しながら風の心地よさを感じる
・植物の世話をする
・お茶をゆっくり淹れる
こうした行動は、
脳の“悩み回路”ではなく
“感覚の回路”を動かしてくれます。
体の感覚に意識を向けることで、自然と
今この瞬間に戻ることができるんです。
思考のスイッチを「体」に預ける。
それが、頭の中を静かに整える一番の近道です。

悩みを手放すとは「忘れること」ではない
「悩みを手放す」と聞くと、
“忘れること”や“向き合わないこと”と
思われがちですが、そうではありません。
手放すとは、
「その悩みに脳が支配される時間を減らすこと」
悩み自体がすぐになくなるわけでは
ありませんが、
悩みに占領される時間が減るだけで、
心の軽さは驚くほど変わります。
そしてそのために必要なのは、
無理にポジティブになろうとすることではなく、
「今ここに意識を戻す練習」を少しずつ
積み重ねていくことなのです。
悩み事の影響力を小さくするために
悩みを考えすぎて苦しいとき、
多くの人は“もっと頑張って考えれば
何とかなる”と思いがちです。
けれど、本当に必要なのは「考えること」では
なく「感じること」
悩みを頭の中で何度も再生するのをやめて、
体を使って、今この瞬間に戻る。
それが、悩みの影響力を小さくする第一歩です。
あなたの中には、
すでに落ち着きを取り戻す力が
ちゃんと備わっています。
だから、焦らずに、優しく。
自分のペースで“今ここ”に戻る時間を
少しずつ増やしていってくださいね。
カウンセリングのご案内
もし「頭ではわかっているのに、考えすぎて
止められない」と感じるときは、
それは心の弱さではなく、神経の反応が関係しているかもしれません。
一人で抱え込まずに、安心できる場所で
少し話してみませんか?
あなたの心が少しずつ軽くなるよう、
丁寧にサポートいたします。
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