ないものばかり見てしまうあなたへ ~ 幸せは“あるものに目を向ける”ことから始まる
他人と比べてしまう心のクセ
私たちはつい、自分と他人を比べてしまいます。
「友達の方が収入が高い」
「同僚は仕事ができるのに、私はうまくいかない」
「SNSで見かけるあの人は、私より幸せそう」
こうした比較は、一度始めてしまうと止まらなくなります。
そして不思議なことに、比較するときに目が行くのは「自分にないもの」ばかりです。
これは人間の脳の仕組みによるものでもあります。
脳は危険や不足を素早く探し出すようにできているため、「足りないもの」「欠けているもの」が気になりやすいのです。
進化の過程で生き残るために必要だった機能が、現代では自分を苦しめる思考のクセとして働いてしまうのです。
「あるもの」に気づけない理由
では、なぜ「あるもの」に目を向けるのが難しいのでしょうか?
それは「慣れ」と「当たり前」が原因です。
たとえば、空気や水。
私たちは普段それを意識しません。
あることが当然だと思っているからです。
同じように、自分がもっている優しさ、努力する力、友人とのつながり、住む場所や健康も、あまりにも当たり前に感じてしまい「自分には特別なものなんてない」と思ってしまうのです。
しかし、もし失ってしまったらどうでしょうか。
病気になって初めて健康のありがたさに気づくように、なくなってから気づく「あるもの」はたくさんあるのです。
「ないもの探し」が心を疲れさせる
「ないもの探し」を続けていると、心はどんどん疲れていきます。
・自己肯定感が下がる
・努力しても満足できない
・他人を羨ましく思い、関係性がぎくしゃくする
・「私なんて…」と落ち込みやすくなる
そしてこの状態が続くと、脳はさらに「不足」に敏感になり、悪循環に陥ります。
「幸せになりたい」と思っているのに、幸せからどんどん遠ざかってしまうのです。
「あるもの」に気づく練習
幸せを感じるために必要なのは「あるものに目を向ける」練習です。
これは決して特別な人だけができるものではなく、誰でも少しずつ身につけられる習慣です。
具体的な方法を紹介します。
① 感謝日記をつける
一日の終わりに「今日ありがたかったこと」を3つ書き出してみましょう。
「天気がよかった」「おいしいご飯を食べられた」「友達と話せた」
小さなことで構いません。
書き出すことで「私の毎日にもあるものがたくさんある」と実感できます。
② 自分の強みを書き出す
人は自分の弱点には敏感ですが、強みには鈍感です。
「人から褒められたこと」「自然とできること」を思い出して書き出してみましょう。
それはあなたにとって当たり前でも、他人にとっては憧れる力かもしれません。
③ 比較の対象を変える
他人と比べる代わりに、「過去の自分」と比べてみましょう。
一年前の自分と比べて、少しでも成長した部分を探します。
昨日より今日、今日より明日と、小さな変化に気づけるようになると「自分にはできていることがある」と実感できます。

「あるもの」に気づくと何が変わる?
「あるもの」に目を向けるようになると、心の状態が大きく変わります。
・自己肯定感が育つ
・安心感が増す
・人間関係が穏やかになる
・「私は大丈夫」という気持ちが強まる
これは、単なるポジティブ思考とは違います。
無理に前向きになるのではなく、「すでに持っている豊かさ」に気づくことで、心が自然と安心し、余裕が生まれるのです。
あなたの「当たり前」は誰かにとっての宝物
忘れてはいけない大切なことがあります。
それは、あなたにとって当たり前のものは、他の人にとっては欲しくてたまらないものかもしれないということです。
・健康な体
・信頼できる友人
・安心して眠れる家
・やりたいことに挑戦できる自由
・失敗してもやり直せる環境
どれも当たり前ではありません。
「私には特別なものなんてない」と思っている人ほど、実はたくさんの恵みを持っているのです。

「あるもの」に目を向けられないときは
とはいえ、「そう簡単にできない」「頭ではわかっても気持ちがついていかない」という人も多いでしょう。
特に過去の経験から強い劣等感やトラウマを抱えている人にとっては、「あるものを探そう」としても、心が苦しくなることもあります。
その場合は一人で頑張らず、安心できる人に話を聞いてもらうことが大切です。
人と安心を分かち合う中で、少しずつ「あるもの」に気づけるようになるのです。
まとめ
ないものばかりに目を向けるのは、人間の自然なクセです。
でも、それが続くと心は疲れてしまいます。
だからこそ意識して「あるものに目を向ける」ことが大切です。
すでに持っているものに気づくだけで、心は安心し、毎日の見え方が変わってきます。
あなたはすでに、たくさんのものを持っています。
どうかそのことを忘れないでください。
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一人で抱え込まず、安心してお話ししてください。
あなたの中の「あるもの」に、私と一緒に光を当てていきましょう。
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