アダルトチルドレンの生きづらさはどこから来るの?~愛着と安心感の再構築~
「ちゃんと育ててもらったはずなのに、なんだか人間関係がうまくいかない」
「人と一緒にいると緊張する、自分がどう思われてるかが気になって仕方ない」
「頑張ってるのに、なぜかいつも心が満たされない」
そんな“理由のわからない生きづらさ”を感じていませんか?
その生きづらさの根っこにあるのが、「愛着」の問題です。
そしてこの愛着の傷は、いわゆる「アダルトチルドレン(AC)」と呼ばれる私たちが、よく抱えているものでもあります。
赤ちゃんの世界は「安心」がすべて
人はみんな、生まれたときは完全に無力です。
赤ちゃんは、お腹がすいたり、寒かったりしても、自分で何もできません。
だからこそ、誰かに守ってもらえることが、生き延びるために絶対に必要なんです。
毎日お世話してくれる人——たとえばお母さんが、抱っこしてくれて、ミルクをくれて、笑いかけてくれる。
そういう関わりを通じて、赤ちゃんは少しずつ「世界は安心できる場所だ」と感じられるようになります。
この「安心感の積み重ね」こそが、愛着(アタッチメント)と呼ばれる心の土台です。
愛着がうまく育たないと、どうなるのか?
もしも泣いても誰も来ない。
抱っこもされず、冷たい目で見られたり、無視されたり。
あるいは、気まぐれに優しくされたかと思えば、怒鳴られたり、突き放されたり。
そんな風に一貫性のない関わり方をされると、赤ちゃんの心には不安と恐怖が刻まれていきます。
本能的に「世界は危険だ」「自分は愛されない」と感じてしまうのです。
この刷り込みは、大人になっても心の奥に残り続けます。
つまり、愛着がうまく育たないと、大人になってからも “人を信じられない・自分に価値を感じられない” という感覚につながってしまうんです。
ポリヴェーガル理論が教えてくれる「安心とつながりの力」
ここでちょっと専門的な話をやさしく紹介します。
「ポリヴェーガル理論」という考え方があります。
これは、「人の神経は、安全を感じるかどうかで働き方が変わる」というもの。
特に大事なのは、「社会交流システム」という神経の働きです。
人と目を合わせたり、やさしい声で話しかけられたり、安心できる存在とつながることで、このシステムが活性化して、心も体もリラックスできるようになります。
でも、愛着が傷ついている人は、この“つながる力”がうまく働きません。
人といても緊張したり、無意識に警戒してしまったりするのは、あなたの性格のせいじゃなくて、神経の働きが「危険だ」と反応しているだけなんです。
アダルトチルドレンの生きづらさ——それは「昔の自分」が今も心にいるから
パーツ心理学では、私たちの中にはいろんな「心の部分(パーツ)」がいると考えます。
たとえば、傷ついた子どものような自分。
必死に頑張る自分。
人を遠ざける自分。
生きづらさを感じているとき、私たちの中にはこんな“昔の自分”が生きていることがあります。
たとえば、赤ちゃんの頃に「誰も助けてくれなかった」「自分は迷惑な存在だ」と感じた部分。
その子が今でも、「人と関わるのは怖い」と言って、心のブレーキを踏んでいるのです。
この傷ついたパーツを責めるのではなく、やさしく理解してあげることが大切です。

「生きづらいのは自分のせいじゃない」——ここから始めよう
愛着の問題は、赤ちゃん時代という“記憶にない頃”にできたもの。
だから、自分で気づきにくいし、「どうしてこんなに苦しいのかわからない」と感じるのは当然です。
でも、それはあなたが悪いわけじゃありません。
必要な愛情と安心を、ちゃんともらえなかっただけなんです。
もらえなかったものを、大人になってから「自分で取り戻していく」ことはできます。
愛着はあとからでも育て直せる
安心できる人と出会ったり、カウンセリングなどで「自分の心を見つめること」に取り組んだり。
少しずつでも、自分の中に「安心できる土台」を築くことはできます。
たとえば、
- 頑張りすぎてしまう自分に「もう大丈夫だよ」と声をかけてみる
- 人に甘えられない自分に「それは怖かったよね」と寄り添ってみる
- 不安でいっぱいのときに、体に意識を向けて深呼吸してみる
こんな小さなことの積み重ねが、心を変えていくきっかけになります。
あなたは悪くない。むしろよく頑張ってきたよ
「生きづらい」と感じることは、弱さではありません。
むしろ、ずっと心に不安を抱えながらも、今日まで必死に生きてきた証です。
もうひとりで頑張らなくていい。
安心を取り戻す旅は、今からでも遅くありません。
切り離されていた「安心感」と、ゆっくりと繋がっていきましょう。
あなたが「心から安心できる居場所」を感じられる日が、きっと来ます。

安心できる場所で、自分の「本当の声」とつながってみませんか?
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
もしかしたら、読んでいるうちに胸がざわついたり、「あ、これ私かもしれない」と感じた瞬間があったかもしれません。
それは、あなたの中の何かが「助けて」と声をあげているサインかもしれません。
生きづらさは、あなたが弱いからでも、甘えているからでもありません。
ただ、小さな頃に守られるはずだった“安心感”が、少し足りなかっただけなんです。
でも、それは今からでも取り戻せます。
あなたの中にはちゃんと癒す力も、つながり直す力もあります。
ひとりでは難しいとき、誰かの安心なまなざしや言葉が、その力を引き出してくれることがあります。
カウンセリングは、そのための場所です。
怖くてもいい、不安でもいい。
まずは、あなたの“今の気持ち”をそのまま持ってきてください。
心の奥にいる「ほんとうのあなた」に、少しずつ出会っていくお手伝いをさせてください。
もし長い記事が疲れるなと感じたら、エッセイカテゴリーに短めの文章もあります。
気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
あなたの心が軽くなる一言が見つかるかもしれません。エッセイはこちら