アクティング・インとは?~自分を責めてしまう心の仕組みと、優しいケア~




「また自分を責めてしまった」

「苦しいのに、誰にも言えない」

「自分なんて消えてしまえばいいと思ってしまうことがある」

そんな思いを、抱えたことはありませんか?

それはもしかしたら、「アクティング・イン」と呼ばれる心の反応かもしれません。

この記事では、「アクティング・インって何?」「どうして起きるの?」「どう向き合えばいいの?」ということを、トラウマケアの視点から、やさしく、そしてわかりやすくお伝えしていきます。

この記事の内容

アクティング・インとは?


アクティング・イン(Acting-In)は、自分自身に対して怒りや苦しさを向けてしまう反応のこと。

「自分を責める」「自分を傷つける」「何も感じないように閉ざす」といった行動が、知らず知らずのうちに繰り返されることがあります。



たとえば、こんな行動が含まれます

  • 過剰な自己否定(「私なんていなくてもいい」)
  • 抑うつや無気力(何もする気が起きない)
  • 感情を感じないように閉ざす(麻痺・無感覚)
  • 常に「頑張りすぎてしまう」(本当はつらいのに休めない)


なぜアクティング・インが起こるの?


実は、アクティング・インの背景には深い心の傷や、過去の経験による“学び”があります。

特に幼少期にこんな経験がある方は、アクティング・インの傾向を持ちやすいと言われています。

  • 親が不機嫌で、自分の感情を出すと怒られた
  • 「いい子」でいないと愛されなかった
  • 怒りを表現すると、関係が壊れると感じた
  • 誰にも相談できず、一人で我慢してきた

つまり、怒りや悲しみを「外に出すのは危険」と無意識に感じ、自分の内側に抑え込むことを“生き延びる手段”として覚えてしまったんですね。


怒りや悲しみを自分の内側に抑え込むイメージを言葉のナイフをぶつけられる子供の画像で表現


私自身の体験 〜アクティング・インと生きづらさ〜


私もかつて、「生きているだけで申し訳ない」と思いながら日々を過ごしていました。

ニュースで誰かが亡くなったと知るたびに、「私が代わりに死ねばよかった」と本気で思ってしまうこともありました。

生きているなら、せめて誰かの役に立たなければ存在してはいけない。

そんな思い込みがあった私は、自分にできることを探して、献血を繰り返していました。

「これが私の価値だ」と信じていたんです。

でも、向精神薬を飲み始めたことで、献血ができなくなりました。

そのとき、「私にはもう価値がない」と思ってしまって、心がズドンと沈んでいくのを感じました。


誰かの役に立てない私は、生きていてはいけない──

そんなふうに、自分自身をどんどん追い詰めていたんです。

でも今思えば、それは私の中にあった怒りや悲しみを、他の人ではなく「自分自身」に向けていたからこそ、そう思ってしまったんだと気づきました。





アクティング・インの奥にある「パーツの声」


ここで少し、パーツ心理学の視点をご紹介します。

アクティング・インで現れる自己批判や自傷の声は、「あなたを守ろうとしているパーツの声」ともいえます。

たとえば

  • 「ダメって言っておけば、他人から傷つけられないでしょ?」
  • 「傷つく前に自分を責めた方が安心だから」
  • 「完璧にしていれば、愛されるかもしれないから」


このように、一見つらく見える行動も、その人なりの“生き延びてきた知恵”だったりするんです。



では、どうやって向き合えばいいの?


アクティング・インへのケアは、やさしく少しずつ内側とつながり直すことから始まります。

すぐにやめよう!と力を入れすぎると、かえって別のつらさが出てきてしまうことも。

ここからは、実際のカウンセリングでも大切にしている5つのステップをご紹介します。



アクティング・インへの5つのケアステップ


① 気づく

まずは、「今、自分を責めてるな」「また無力感に包まれてるな」と気づくことが第一歩です。

気づくだけで、反応に“間”が生まれ、少しずつ変化が起き始めます。


② 優しい言葉をかける

「また責めちゃってる、ダメだ…」ではなく、

「そうなるくらい、つらかったんだよね」「ここまで頑張ってきたんだよね」と自分に寄り添う言葉をかけてあげることが、心の回復にはとても大切です。


③ 安心できる体の感覚をつくる

身体が「危険」と感じているとき、心も安心できません。

ゆっくりとした呼吸、グラウンディング、温かいものに触れることなど、身体から安心を取り戻すことで、感情とのつながりも回復しやすくなります。(関連記事:「心の傷は体が覚えている」ソマティック心理学で、安心を取り戻す方法


④ 感情を出せる場所をもつ

本当は感じていた怒り、悲しみ、不安・・・

それらを少しずつ安全に外に出せる場があると、アクティング・インは少しずつ減っていきます。

ノートに書く、信頼できる人に話す、セラピーを受けるなど、自分に合った方法を見つけてみてください。


⑤ パーツと対話する

責めてくる声、自傷に向かわせる衝動も、「どうしてそんなふうにしてるの?」と問いかけてみることが、深い癒しへの入り口です。

すると、「あなたを守りたかっただけなんだ」という声が返ってくるかもしれません。


パーツとの対話を笑っている熊のぬいぐるみで表現


苦しみはあなたの“せい”じゃない


アクティング・インをしてしまうとき、多くの人が「自分がおかしいのでは」「私が弱いからだ」と思い込んでしまいます。

でも、そうではありません。

それはあなたが、ただ一生懸命に生きてきた証です。

そして今ここから新しいケアの方法を知り、「自分を大切にする力」を育て直していけるんです。

少しずつでいい。

苦しみの奥にある「本当のあなたの声」に、耳を傾けてあげてくださいね。



自分を責めるパターンから、やさしく抜け出していきませんか?


アクティング・インの背景には、「誰にもわかってもらえなかった」「感情を出すことが怖かった」そんな深い孤独や傷つきが隠れていることがあります。

でも、あなたは一人じゃありません。

もし今、「ずっとこのままは苦しい」「自分を大切にできるようになりたい」と感じているなら、ぜひ一度、話を聴かせてください。

私のカウンセリングでは、責めグセや無力感の奥にある“本当のあなたの声”に、やさしく丁寧に寄り添っていきます。

がんばりすぎてきた心に、ほっとできる時間を。

あなたのペースで、一緒に整えていきましょう。




少ない文字数でサクッと読めるエッセイはこちら



トラウマと体の関係まるわかり無料メール講座

トラウマと体の関係について学べる無料メール講座はこちら(ご登録特典 PDF資料42ページ付き!)↓

 

メール講座

 

 

ランキング参加しています。

よろしかったら、ポチっと押していただけると嬉しいです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の内容