自分の強みがわからないあなたへ~“欠点”の中に隠れた才能を見つける心理学的アプローチ~
「あなたの強みは何ですか?」その質問に戸惑ったことはありませんか?
「あなたの強みって何だと思いますか?」
こう聞かれたとき、すぐにパッと答えられる人って、実は少ないかもしれません。
むしろ、「強みなんてない」「短所ならいくらでもあるのに」と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
特に、自分に自信が持てない方や、家庭の中で自分を否定され続けてきた方にとっては、「自分には価値がある」と信じること自体が難しいテーマです。
でもね、私たちにはみんな、“強みの種”がすでに備わっているんです。
ただ、それに気づく機会がなかっただけ。
今日は、そんな強みに光を当てていくためのお話をしていきます。
自分を肯定することが苦手な理由
私たちは、小さいころから「調子に乗らないように」「目立つと叩かれるよ」と言われて育ってきました。
特に日本では「謙虚さ」や「遠慮」が美徳とされがちで、自分の良いところを口にするのは“自慢”と受け取られやすい文化があります。
また、機能不全な家庭や、親からの過干渉・否定的な言葉を受けて育った人は、「どうせ私なんて」と自己否定のクセが強くなっていることもあります。
これは、ポリヴェーガル理論で言うところの“背側迷走神経(シャットダウン状態)”が優位になっている状態とも言えます。
つまり、「どうせ無理だ」「私はダメなんだ」と思って動けなくなってしまう神経反応が、あなたを守ろうとして働いているんです。
でもその反応は、今のあなたにとってはもう必要のない「古い安全装置」かもしれません。
強みを知ることは、自分を癒す第一歩になる
自分の強みを知ることは、ただ自信を持つためだけではなく「本来の自分を取り戻す」ための大切なステップでもあります。
特にアダルトチルドレンの方は、自分の感情や欲求を押し殺して生きてきた人が多いです。
そのため、自分の「好き」や「得意」「向いていること」さえもわからなくなってしまうのです。
でも、安心してください。
ここからでも、少しずつ“自分の声”を聴くことはできます。
まずは、簡単なところから始めてみましょう。
【ステップ①】自分ではなく、「他人の目」を借りてみる
まず、自分の強みがまったくわからないときにオススメしたいのが、「周りの人に聞くこと」です。
これはパーツ心理学の観点でも、とても有効な方法です。
自分を責める“内なる批判者”が強くなっているとき、自分の中の「観察者パーツ」は沈黙してしまいがち。
そこで外側の視点=他人の意見を借りることで、そのバランスを取り戻していくんですね。
たとえばこんなことを聞いてみてください。
- 私の良いところってどこだと思う?
- 一緒にいて安心できるって思うこと、ある?
- 私に向いてそうなことって、なんだと思う?
他人にとっては「当たり前」でも、自分にとっては「そんなふうに見えてたんだ!」という驚きがあるはずです。

【ステップ②】欠点の“裏側”にあるポジティブな意味を探す
もう一つ、すぐにできるのが「欠点に見える部分の、ポジティブな側面を探すこと」です。
これ、実はすごく大事な視点なんです。
私たちが「短所」と思っていることって、見方を変えると「強み」になることが本当に多いんです。
たとえば、
✅「飽きっぽい」→「好奇心旺盛で、広く学べる」
いろんなことに手を出してすぐに飽きる・・・と悩む人。
でも、それって視野が広く、次に進む力があるということでもあります。
✅「不平不満が多い」→「自分の“違和感”に敏感」
文句が多いと責められてきた人。
でも、それって「これじゃイヤ」「こうしたい」がちゃんとある証拠です。
✅「空気を読みすぎる」→「人の気持ちに敏感」
気を使いすぎて疲れてしまう。
けれどそれは、人を深く思いやれる力を持っているということでもあるんです。
こうやって、欠点の中にある“裏の才能”に気づいていくことは、自己理解を深めていくうえでとても役立ちます。
いきなり「これが私の強み!」じゃなくていい
強みって、必ずしも“わかりやすい成果”や“人と比べて優れていること”じゃなくていいんです。
- 毎日ちゃんと起きている
- 誰かに優しく声をかけている
- 仕事がしんどいけど頑張っている
- 自分の感情をノートに書き出している
これら全部、立派な“あなたの強さ”です。
そして、その小さな積み重ねが、あなたを支えてくれている。
強みは「すでにあるもの」に気づくことから始まります。
探すのではなく、「見つめ直す」という感覚に近いかもしれません。

「私はダメ」から抜け出すには、“視点の切り替え”が鍵
私たちは、トラウマや過去の記憶によって、ネガティブなフィルターを通して自分を見がちです。
でも、ポジティブな視点を持てるようになると、世界がガラッと変わります。
自分の中にいる「できない私」だけでなく「できている私」「優しい私」「努力してる私」も、ちゃんと見つめてあげること。
これは自己肯定感を育てるうえで、すごく大切です。
そして、こうした“視点の切り替え”を支えてくれるのが、安心できる関係性の中での対話です。
自分ひとりでは難しいときは、カウンセリングという選択を
「頭ではわかってる。でも、どうしても自分を責めてしまう」
そんなふうに感じるときは、無理にひとりでがんばらなくて大丈夫です。
カウンセリングでは、あなたの中にある“本来の力”を一緒に見つけていきます。
ネガティブなフィルターがかかってしまっている状態でも、一緒にその背景を理解し、少しずつ「強みの視点」で見つめ直すサポートができます。
あなたはダメなんかじゃない。
強さも、優しさも、ちゃんとあなたの中にあるんです。
気づく準備が整ったとき、一緒にその扉を開けていきましょう。
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気軽に読める内容なので、ちょっとした息抜きにどうぞ。
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