感受性が強くて生きづらいあなたへ――涙が止まらなかったあの夜と、今思うこと
ちょっと変わった子だった私
私は今でこそ多少のことは「まぁいいか」と思えるようになりましたが、子どもの頃は本当に感受性が強く、周りの人の気持ちや空気にすぐ影響を受けてしまうタイプでした。
忘れられない出来事があります。
小学校低学年のある日、テレビで競馬中に転倒して骨折し、安楽死になった馬のニュースを偶然見ました。
それを見た瞬間、涙が止まらなくなったんです。
その馬を知っていたわけでもないのに。
ただ、「人間の都合で走らされ、骨が折れたら殺される」――その事実が、ただただ悲しくて仕方なかった。

急に泣き出した大晦日の夜
その感情は時間が経っても私の中で消えることはありませんでした。
数か月後の大晦日。
家族ぐるみで初詣に出かける途中、車の中でなぜか突然あのニュースを思い出して、また涙が溢れてきました。
楽しいはずの車内で、突然泣き出した私を見て、両親も近所のご家族もびっくり。
「どうしたの?」と聞かれても答えられませんでした。
だって、まさか何か月も前のニュースを思い出して泣いているなんて言えないですよね。
自分でも「なんで今このタイミング?」と不思議でした。
でも、当時の私は自分の感情の揺れを、まだよくわかっていなかった。
他人の痛みを自分のことのように感じる
私は、目の前の人が発する「空気」から気持ちを感じ取り、まるでそれが自分のことであるかのように心を動かされてきました。
世の中では「HSP(繊細さん)」とか「エンパス」と呼ばれているタイプかもしれません。
でも、名前なんてどうでもよくて、とにかく他人の感情や痛みに心が乱されて大変だったんです。
感受性は弱さじゃなかった
そんな私も大人になり、カウンセリングを受けたり、心理学を学ぶ中で、だんだん自分の内側が整ってきました。
今でも、もちろん共感力は強いです。
でも、それで心が大きく乱されることはなくなりました。
それは「自分と他人の境界線」が明確になったからです。
これは私にとって、とても大きな変化でした。
以前は、感情が波のように押し寄せてきて、飲み込まれてしまうような感覚がありましたが、今は「その人の痛みはその人のもの。
私はそれを理解し、寄り添える存在でいればいい」と思えるようになったのです。
境界線を持つことで自由になる
感受性や共感力は「弱さ」ではなく、「才能」です。
(関連記事:「強み」と「トラウマ」はつながっている 〜つらい経験の裏にある、あなたの本当の力〜)
ただ、その才能をうまく使うには、自他の境界線を知ることが必要です。
特にアダルトチルドレン傾向のある方は、幼少期に境界線が曖昧だった経験を持つことが多く、無意識のうちに「他人の感情=自分の責任」と背負いがちです。
でも、それでは自分の心がもちません。
繊細であることを「生まれつきだから仕方ない」とあきらめないで。
きちんと境界線を引くことで、その繊細さは「強み」に変わります。

感受性とともに生きるということ
もちろん、私は今でも悲しいニュースを見て泣いてしまうことがあります。
逆に、感動する場面では嬉し泣きもします。
でも、一度泣いたらわりとスッキリして、後には引きずらない。
感情を感じきることで、自分自身に余白ができるようになったからかもしれません。
誰も「かわいいヤツだなぁ」なんて言ってはくれないけれど、私はそんな自分を「けっこういいヤツじゃん」と思っています(笑)
感受性の強いあなたへ伝えたいこと
もしあなたが今、「生きづらい」「人に振り回される」と感じているなら、まずは「それは仕方なかったことなんだ」と自分を労わってあげてください。
感受性が強いのは、あなたがずっと周囲の空気を敏感に察知し、傷つけないように、怒らせないように、頑張ってきた証です。
そしてそれは、あなたの「弱さ」ではなく、「生きるために必要だった力」です。
その力を、今度は自分のために使っていきませんか?
感受性を「才能」に変える
感受性が強くて生きづらいと感じるのは、とても自然なことです。
でも、その繊細さはあなたの大切な魅力でもあります。
大切なのは「感情を抑えること」ではなく、「巻き込まれすぎないこと」。
つまり、自他の境界線をしっかり持つことです。
自分の気持ちを大事にしながら、相手に優しさを向けられる――
そんなバランスが取れるようになったとき、感受性は間違いなくあなたの強みになります。
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