無意識の緊張が体にサインとして現れたとき、オリエンティングで「今ここ」に戻れた体験

この記事の内容

何気ない忘年会で起きた、体の小さな異変


先日、友人との忘年会で
焼き鳥屋さんに行ったときのことです。


1杯目に生ビール、2杯目は梅酒のロック。
酔うほどの量でもなく、
空腹でもありませんでした。

楽しく会話をしながら食事をしていたのですが、
途中から、なんとなく人の声が
遠くで聞こえるような感覚になりました。



体調が悪いわけでもなく、
気分が落ち込んでいるわけでもありません。

ただ、意識が少しずつ「今ここ」から離れていく
ような、そんな違和感がありました。



不安を感じていなかったのに、意識が少し遠のいた


そのときの私は、不安を感じている自覚は
ほとんどありませんでした。
楽しい場にいて、会話も弾んでいました。

それなのに、体のほうが先に
何かを感じ取っていたようです。



「このまま、もっと意識が遠くなったら
どうしよう」そう思い、私は席を立って
トイレに向かいました。



昔のパニック発作とは違う感覚


私は過去に、
長い年月パニック障害を経験しています。


当時はアルコールやカフェインを摂ると、
てきめんに発作が出ていました。

けれど今回の感覚は、
あの頃の発作とは少し違いました。
小さな耳鳴り。
周囲の音が遠のく感じ。
自分の意識が少し浮いているような感覚。

少し怖さはあるけれど、
パニックの予兆とは少し違う。
そんな微妙な感覚でした。



意識では平気でも、体が反応することがある


人は、意識では「大丈夫」と思っていても、
体が先に反応することがあります。

それは弱さでも、気の持ちようでもありません。
体が私たちを守ろうとしている、
とても自然な反応です。



脳の無意識の安全確認「ニューロセプション」


脳には ニューロセプション という
仕組みがあります。
(関連記事:トラウマが生む不安からの解放~安心感を育てて心と体をゆるめる方法



これは「今この場所は安全か、危険か」を、
無意識に判断する働き
です。

過去の体験、体調、環境の変化などをもとに、
脳が「何か危険かも」と察知すると、
意識がぼんやりしたり、
現実感が薄れたりすることがあります。



なぜ危険を感じたのに、意識が遠くなったのか


「危険を感じたら交感神経が優位になって、
ドキドキしたり緊張する」
そう思われる方も多いかもしれません。

けれど実は、体の反応は
それだけではありません。

人の神経系には、
危険を感じたときの反応として大きく分けて
戦う・逃げる反応と、
凍りつく・切り離す反応
があります。
(関連記事:ポリヴェーガル理論とは?不安や緊張の仕組みを“やさしく解きほぐす”神経の話


今回私に起きていた
音が遠くなる、意識が少し離れるような感覚は、
後者の「切り離して守る」反応に近いものです。

これは弱さでも、悪化でもありません。
むしろ、これ以上負荷がかからないように
体がブレーキをかけてくれている状態
です。

過去の体験や、
その人の神経系のクセによっては、
交感神経を強く上げるよりも、
意識を少し遠ざけた方が安全だと
脳が判断することがあります。

意識では「楽しい」「大丈夫」と思っていても、
体はとても現実的で、正直です。
そして常に、私たちを守る選択をしています。



オリエンティングとは何か


トイレの個室に入った私は、
オリエンティング と呼ばれるワークを
行いました。

オリエンティングとは、
今いる空間をゆっくり見渡し、
「ここは安全だよ」と脳に伝えていく
ワークです。

私は個室の中から、
トイレ全体、天井、壁、照明を
ゆっくりと目で追っていきました。


オリエンティングで期待できる効果


・意識が「今ここ」に戻りやすくなる


・緊張やフワッとした感覚が落ち着く


・無理に気持ちを切り替えなくていい


視覚を使って安全を確認することで、
脳の判断が更新されていくのです。


トイレの個室でオリエンティングをしてみたら


しばらく続けていると、
遠くで聞こえていた店内の音が、
少しずつ近くに戻ってきました。

「あ、戻ってきた」

そんな感覚がありました。


正直、おぉー、すごい! と思いました。

トイレの個室でオリエンティングをするイメージを、トイレの天井の画像で表現



落ち着こうとしなくていい、という安心


オリエンティングは、
不安を力で抑え込むワークではありません。

「落ち着かなきゃ」と頑張らなくても、
体が自然に今に戻るのを助けてくれる方法です。



ワークは「いざという時」のために育っている


日常でワークをしていると、
大きな変化を感じないこともあります。

でも続けていると、
水面下では確実に力が育っています。
今回のような場面で、
それが表に出てくるのです。



自分で自分を落ち着かせる力を育てる


セラピーで目指しているのは、
「何が起きても、自分で自分を
落ち着かせられる力」
を育てることです。

これは一生使える、
大切なスキルだと思っています。



まとめ 〜日常の中で自分を守るために〜


今回の忘年会での体験を通して、
私は改めてオリエンティングの力を
実感しました。

ピンと来なくても、続けること。
それが、いざという時の安心につながります。



ちなみに私は、焼き鳥はタレより塩派です。
(どうでもいい情報ですが)

皆さんはどちら派ですか?

忘年会で食べた焼き鳥とビールのイメージを、焼き鳥とビールの画像で表現



カウンセリングへのご案内


もし、
「理由はよくわからないけれど、
体が緊張しやすい」
「大丈夫なはずなのに、意識が遠のくような
感覚になることがある」


そんな経験があるなら、あなたの体もきっと、
一生懸命にあなたを守ろうとしてきたのだと
思います。

カウンセリングでは、こうした反応を
「治すもの」「なくすもの」として
扱うのではなく、
脳や体の仕組みをやさしく理解しながら、
少しずつ「今ここ」に戻れる感覚を
育てていきます。

オリエンティングをはじめ、
あなたの状態やペースに合わせたワークを
使いながら、無理なく安心を積み重ねていく
お手伝いをしています。

「一人で頑張らなくてもいい」
そう感じられる時間を、ここで持ってもらえたら
嬉しいです。

ご興味のある方は、
下記よりカウンセリングの詳細をご覧ください。


今のあなたに合う関わり方を、
一緒に探していけたらと思っています。



もし長い記事が疲れるなと感じたら、
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