「こんな自分は嫌だ」と思ってしまうあなたへ
たとえば…
- 優しくしたいのに、急にイライラしてきつく当たってしまう
- 前向きになりたいのに、心のどこかが「どうせ無理」とブレーキをかけてくる
- 自信を持ちたいのに、過去の失敗がよみがえって動けなくなる
こんなふうに、「自分の中にいくつもの“ちがう声”がある」と感じたことはありませんか?
もしかすると、そんな自分に「おかしいのかな」「変わってるのかな」と思って、責めたり否定したくなってしまうかもしれません。
でもそれは、とても自然な心の反応なんです。
「パーツ心理学」は、そうした“心の中のいろんな自分”を丁寧に理解していくアプローチです。
パーツ心理学ってなに?
パーツ心理学では、人の心を「ひとつの人格」ではなく、いくつもの“パーツ(部分)”が集まってできていると考えます。
たとえば、
- 頑張り屋のパーツ
- 弱音を吐きたいパーツ
- 怒っているパーツ
- 恐れているパーツ
- 楽しくなりたいパーツ
- 傷ついているパーツ
- 落ち着いた大人のようなパーツ
こうした“心の登場人物たち”が、それぞれに役割や思いを持ち、あなたの中でやりとりをしているというイメージです。
この視点を持つと、「私はダメだ」とひとくくりに責めるのではなく、「そう思っているパーツがいるんだ」と自分を客観的に見ることができるようになります。
私たちはさまざまな感情や反応を持つ“内なる登場人物”で成り立っています。
それらが時にケンカしたり協力し合ったりしながら、あなたという“心の世界”を形づくっています。
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「矛盾している気持ち」は悪いことじゃない
たとえば、
「行動したいけど怖い」
「頑張ってるのに疲れた」
「優しくしたいのに怒ってしまう」
こんなふうに、心の中に“矛盾する声”があると、自分を責めたくなるかもしれません。
でもそれはただ「違うパーツがそれぞれの想いで反応している」だけなんです。
たとえば、怖がりなパーツは「失敗してまた傷つくのが怖い」
一方で頑張り屋のパーツは「成果を出さなきゃ価値がない」と信じている。
そんなふうに、それぞれがあなたを守るために一生懸命なのです。
パーツの中には「傷ついたインナーチャイルド」もいる
特にアダルトチルドレンやトラウマを抱えた方の中には、深く傷ついたままのパーツ(インナーチャイルド)がいることがよくあります。
この子はたとえば、
- 小さい頃にひとりで泣いていた
- 否定された経験を繰り返した
- 愛された記憶がなく、ずっと心細かった
そんな心の奥で置き去りにされた感情たちです。
この“子どものパーツ”が、今もふとしたきっかけで反応し、強い不安や怒り、孤独感を呼び起こしてしまうことがあるのです。

「パーツに気づくこと」から癒しが始まる
この理論のやさしいところは、「まずは、パーツの存在に気づくことからでいい」としている点です。
「またこんな反応をしてしまった」と自分を責めるかわりに、
「あ、今のは“すごく不安が強いパーツ”が反応してたのかも」
「このイライラは、“過去に怒りを飲み込んできたパーツ”かも」
そんなふうに、自分の反応をちょっとだけ客観的に眺めることができるようになっていきます。
そうすると、心の中にスペースが生まれて「どうしたらこの子(パーツ)が落ち着けるかな?」と考える余裕もできてくるのです。
パーツ心理学の癒しとは「コントロール」ではなく「対話」
多くの人は「この反応をなくしたい」「この気持ちを抑えたい」と思います。
でもパーツ心理学では、パーツを“変える”のではなく、“理解する”ことを大切にしています。
たとえば、
- 「ずっと黙って頑張ってきたパーツ」に、「気づいてるよ」と声をかけてあげる
- 「怒っているパーツ」に、「本当は何が悲しかったの?」と聞いてみる
- 「何も感じないパーツ」に、「一人にしてごめんね」と寄り添ってみる
そうやって対話を重ねていくと、パーツたちは少しずつ安心して穏やかになっていきます。
パーツ心理学でわかること・変わること
1. 自分に優しくなれる
「自分はなんでこんなにイライラするんだろう?」と責めていた人も、その奥に“傷ついた子どものパーツ”がいると気づくと、自然とその感情に寄り添えるようになります。
2. 感情の裏にある本音が見えてくる
たとえば、怒りのパーツの奥には「本当は悲しかった」という気持ちが隠れていることがあります。
パーツに気づくことで、表面的な感情だけでなく、その背景にある深い思いにもアクセスできます。
3. 心のバラバラ感が統合されていく
パーツ心理学を続けていくと「いろんな自分」が少しずつ仲良くなっていき、心の中に安心感が生まれます。
結果として自己否定が減り、自信や安心感が育っていきます。

パーツ心理学は、こんな人におすすめ
- いつも自分を責めてしまう人
- 感情の波が大きくて疲れてしまう人
- 人に合わせすぎて、本音がわからなくなっている人
- 「自分らしく生きたい」と思っているのに、どうしたらいいかわからない人
パーツ心理学は、特にアダルトチルドレンやトラウマを抱えてきた人たちにとって、とても優しく深く心に寄り添うツールになります。
実際にはどんなことをするの?
パーツ心理学では、カウンセリングやワークを通して、
- 今、どんなパーツが反応しているのか
- そのパーツはどんな思いや役割を持っているのか
- パーツ同士の対立や孤立が起きていないか
などを一緒に見つめていきます。
「自分の中の声を聞く」ような静かなプロセスなので、無理に何かを変える必要はありません。
気づくこと、理解すること、そして少しずつ対話していくこと。
それだけでも、心の内側に優しい変化が生まれていきます。
あなたはもう、変わり始めている
「なんでこんなに私は不安定なんだろう」
「どうしていつも同じことで傷ついてしまうの?」
そんな思いが何度も浮かぶ人こそ、パーツ心理学に触れてほしいと私は思います。
あなたの中にいるたくさんのパーツたちは、みんなあなたを守ろうとして、今まで一生懸命に頑張ってきた。
「こんな自分、嫌い」と思う部分こそ、ほんとうは一番話を聞いてもらいたがっているパーツかもしれません。
この記事を読んでいるあなたは、きっと「今の自分を変えたい」「もっと楽になりたい」と思っている人だと思います。
その思いこそが、もうすでに“心の中のどこかのパーツ”があなたに伝えたいサインです。
パーツ心理学は、あなたの中のすべての声を否定せず、大切にしながら、少しずつ“本当の自分らしさ”を取り戻していくプロセスです。

あなたが自分のすべてをまるごと受け入れて、自由に生きるための一歩として、このページが役立てば嬉しいです。
当カウンセリングルームでは、ポリヴェーガル理論・パーツ心理学・ソマティック心理学を組み合わせたトラウマセラピーを行っております。
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